ビルマ・バルーチャン水力発電所開発関係資料について

──日本工営地質調査技師・境田正宣のノートと写真──

ここでは『AJジャーナル』第5号誌上に発表した原田信男「ビルマ・バルーチャン水力発電所開発関係資料について──日本工営地質調査技師・境田正宣のノートと写真──」では掲載することができなかった内容を、可能な限り紹介する。すなわち境田正宣が、調査の数値や感想などを留めたフィールド・ノート(野帳)8冊と、現地での風景などを撮った写真ファイル4群計606枚(スライドを含む:欠番あり)である。以下、本ページでの掲載に際して、両者の概要解説を再録しておく。


写真中央が境田氏

フィールド・ノート



《ノート》


I )第1冊:1954A(16.5×10.0cm・紙数42枚)

野帳の表紙には、「SKETCH BOOK」の型押し印刷があり、ノート用紙には薄青色で3mm升目が縦32罫・横52罫で印刷されている。さらに境田の手によって、白で右上に「1954・A」と記され、黒で「Balu Chaung No.1 1954A Jan~Apr.」と書かれている。なお後内扉表裏にもメモ書きがある。


II )第2冊:1954B(16.7×9.5cm・紙数33枚)

表紙には「Level Book」および下線の型押し印刷があり、ノート用紙には赤で上に1本と薄青色26本の横罫があり、左頁には6本の赤による縦罫が引かれている。さらに境田の手によって、白で右上に「1954・B」と記され、小さな貼紙に「Balu Chaung」と黒で記されているほか、「野帳」の鉛筆書きが添えられている。また、その下方に「No.2 1954B Apr.~July」と書かれている。また手帳裏表紙には、オーストリッチ社製を意味する「OSTRICH TRADE MARK」とダチョウの円形の図が型押しされている。


III )第3冊:1954C(16.7×9.5cm・紙数39枚うち白紙1枚)

同じく「Level Book」および下線の型押し印刷があり、第2冊と同一製品で、境田の手によって、白で右上に「1954・C」と記され、小さな貼紙に「野帳」の鉛筆書きある。また、その下方に「Balu Chaung June-Aug.」と書かれている。また手帳裏表紙には、同じく「OSTRICH TRADE MARK」とダチョウの円形の図が型押しされている。


IV )第4冊:1954D(16.7×9.5cm・紙数39枚)

同じく「Level Book」および下線の型押し印刷があり、第2・3冊と同一製品で、境田の手によって、白で右上に「1954・D」と記され、「Balu Chaung June~Sept.」と書かれている。また手帳裏表紙には、同じく「OSTRICH TRADE MARK」とダチョウの円形の図が型押しされている。なお「T.N.A AHUJA Co..」1枚、「Mya Syndicate Limited」4枚の領収書などが表紙と内扉の間に挿まれている。


V )第5冊:1954E(16.7×9.5cm・紙数36枚)

同じく「Level Book」および下線の型押し印刷があるが、ノート用紙には赤で上下に2本と薄青色の横罫19本があり、左頁には5本の赤による縦罫が引かれているほか、右頁には中央に1本の赤による縦罫がある。境田の手によって、白で右上に「1955・A」と記され、「Balu Chaung 1955 Jan~Feb」と書かれている。また手帳裏表紙には、同じく「OSTRICH TRADE MARK」とダチョウの円形の図が型押しされている。なお「NIHON KOEI KABUSHIKI KAISHA」の用紙上部を半裁したメモ2枚が表紙と内扉の間に挿まれている。


VI )第6冊:1955A(16.7×9.3cm・紙数26枚)

同じく「Transit Book」および下線の型押し印刷があり、ノート用紙は、第5冊と同じ仕様となっている。境田の手によって、白で右上に「1955・A」と記され、「Balu Chaung Sept.~Nov.」と書かれている。また手帳裏表紙には、同じく「OSTRICH TRADE MARK」とダチョウの円形の図が型押しされている。なお横罫用紙を切断したメモ1枚が表紙と内扉の間に挿まれている。


VII )第7冊:1955B(16.7×9.3cm・紙数36枚)

同じく「Transit Book」および下線の型押し印刷があり、第6冊と同一製品で、境田の手によって、白で右上に「1955・B」と記され、「Balu Chaung No.2 Feb-Apr.」と書かれている。また手帳裏表紙には、同じく「OSTRICH TRADE MARK」とダチョウの円形の図が型押しされている。なおラスト2枚の下半分が切断されている。


VIII )第8冊:1955C(16.7×9.5cm・紙数36枚)

同じく「Level Book」および下線の型押し印刷があり、第2~4冊と同一製品で、境田の手によって、白で右上に「1955・C」と記され、「Balu Chaung 1955 No.3 Apr.~June」と書かれている。また手帳裏表紙には、同じく「OSTRICH TRADE MARK」とダチョウの円形の図が型押しされている。なお前内扉の表裏および後内扉の表にもメモ書きがあり、ラスト1枚は下半分が切断されている。


これらは、いわゆる野帳と称するフィールドノート型の手帳で、現場でのメモや宿舎での整理あるいは感想などを書き綴ったノートである。しかし各冊の表紙に整理されているように、作成期間が明示されており、ノート内部にも日付が記入されている。調査した数値やさまざまなスケッチ図のほか、現地語の単語表、買物や人夫賃などのメモ、会社などとの連絡メモ、あるいは現地での事件の詳細や、そうした出来事への感想など、さまざまな事項が、日本語に英語を交えた形で綴られている。
そうしたメモのいくつかの部分には、抹消を意味すると思われる斜線が引かれており、正式な報告書や書類を作成する際に、これらのノートにおける記述を利用していたことが窺われる。さまざまな数値やスケッチなどには、おそらく地質学的あるいは技術的にみれば、貴重なデータとなりうるものもあろう。しかし全体ではかなりのボリュームになるので、ノート中の数値部分や単なるメモについては割愛し、まとまった文章となっている部分のみを掲載した。なお原本のコピー作成は全て完了しており、本センターにおいて、希望者にはコピーでの閲覧を原則とするが、正当な理由があれば原本を見ることも可能である。