2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第7回 藤田先生 6月10日 10/12
サイバー・アジア 都市のデジタル・ネイティブたち
⑦憤青 *代表的ネット論壇サイト(人民網BBS・強国論壇)
「怒れる若者」を意味する言葉です。特に近年のネット掲示板上で過激な発言をする層に対し使われている。「小皇帝」世代、特に大学生に多い。急進的なまでに「民族主義的」であり、「愛国的」。しかし、基本的な日本に関する知識、来日経験や日本人との直接の交流経験にも乏しいと言われる。日本における「ネット右翼」的なポジションとも言えるか。
実は中国の人は、掲示板的な交流が大好きなんですよ。現在、ネット上には無数のネット掲示板が乱立しています。彼らは、マスメディアというものを、基本的に政府のコントロール化にあるため、信用していない。でも一人で喋っていてもしょうがないっていうことで、みんなが書いているところ(掲示板)に書いていく。しかし、ここでもやっぱりラウドスピーカー、要するに大きな声を出す、激烈なことを書く人達というのが注目されていくような構図というのがやはりあります。後述しますが、このような近年ネット上で問題となっている「デイリー・ミー」「集団分極化」「沈黙の螺旋」「サイバーカスケード」などの現象(*)は、アジア各国のネット社会でも、まさに互いに呼応しあうかのように噴出しています。 *参考文献『インターネットは民主主義の敵か』キャス・サンスティーン(毎日新聞社)

⑧山寨
いわゆる「海賊版」「コピー」。原義は、「無法地帯」。たとえば、このアップルの「i-Phone」。中国では、i-Phaneという「山寨」機が出回っている。もちろん、これは氷山の一角にすぎませんが、これから中国でも第三世代携帯電話時代が始まり、ますますこういう「山寨」機問題は、頻出すると思います。しかし、これはまあまあ機能があり、一応動くんですね。そして正規品より格安です。この間、私たちが彼らにアウトソーシングという形で生産委託をする中、彼らは着々とその技術を習得し、完成度の高さはともあれ、とうとうあらゆる海賊品を作る技術を持つに至ったわけです。ハードだけでなく、ソフトウェアやコンテンツにおいても、同様です。この技術蓄積の高さと社会制度のアンバランスさは、まさに今の中国の混迷を物語っていると言えます。

海賊版OS *番茄花園版
これはWindows XPの海賊版です。これは、中国では結構簡単に手に入るようです。実はこれを使ってマイクロソフトのウェブサイトに行っても、正規版という保証がついちゃうくらい良くできているようです。つまり、海賊版業者たちは、XPというOSを模倣するほどの技術が既に手に入っているということですね。もちろん、著作権違反ですが、ITというテクノロジーが本質的に複製技術であることを考えると、これは不断の技術競争でしかない。開発者と利用者の信頼関係や利用満足度の上にのみ、マーケットの勝敗が決まる時代なのです。

⑨土豆網(tudou.com)
これは映像投稿サイトといわれているものですが、最近、大変な勢いで増えています。日本でいうとYouTubeにあたります。実際にこれの利用者数が6000万から7000万人。2、3年前より、このようなサイトが200以上乱立し始めたので、中国当局は、監視・検閲を厳しくし始めているようです。中国当局は、突然一気にサイトを停止させる。やっちゃいけないと。日頃見ていたウェブサイトがいきなりなくなるわけです。でも、見ている人も慣れたもので、またいずれ類似のサイトができるから、と。「上に方針があれば、下に対策あり」とはよく言ったもので、中国社会特有の二重構造が、インターネットの中でも起きているということです。これはおそらくそう簡単には解決しない問題だと思います。

⑩淘宝網(taobao.com)
これはネットショッピングサイトです。近年、急激に伸びています。中国は、やはり国土が広いので、ここで自分の地域にない物、全世界の物をどんどん買えるということに気づいてしまった中国の人達は、よりよいものはないかと探すわけです。また、オークション形式での売買が非常に好まれます。ここにも「定価」がないんですね。つまり、お互いで値段を決めてください、と。日本の場合は、ネット上でもある程度値段が決まっているパターンが多いのですが、こういうところにも中国文化というのは現れてきている。