2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第7回 藤田先生 6月10日 12/12
サイバー・アジア 都市のデジタル・ネイティブたち
■公的空間、私的空間、共有空間
都市空間での物理的な現象で言いますと、携帯電話ひとつに象徴されるように、情報・コミュニケーション空間がネット化することにより、公共空間と私的空間、そして共有空間が、相互に入り交じってきている。つまり、「どこで何をするのが正しいのか」というのが、わかりにくくなっている。電車、店、街路に代表される「公共空間」での振舞いの文化性は、国々の文化や歴史により差異がありました。会社、教室のような「共有空間」、果ては家庭のような「私的空間」も著しく変容しています。新たな情報空間の侵入は、アジア都市空間に共通の変容をもたらし始めています。そしてグローバリゼーション化における人間と情報の頻繁な移動の中で、さらにこれらの振る舞いが相互浸透し始めています。これは、情報社会の浸透により都市の人間の身体、振る舞いの変容と共通化が起こり始めているということなのでしょう。
現実の「見える都市」と違い、このネットという世界は見えにくいし俯瞰しにくい。どちらかというと、社会の裏側のように見えてくる環境です。しかし近年、この表と裏がつながろうとしている。現在アジア都市の内部で、この「見えない都市」が実は「見える都市」を揺さぶり始めている。しかし、このシステムをコントロールするのは、できるのはいったい誰なのか。そういう非常に不安定な時代に入ったんだ、という気がします。


上海のネットカフェ


<参考文献>
『アジアからのネット革命』会津泉(岩波書店)
『情報化の進展とアジア諸国の対応』北村かよ子編(JETRO)
『韓国のデジタルデモクラシー』玄武岩(集英社新書)
『現代中国のマスメディア・IT革命』林暁光(明石書店)
『中国のインターネットにおける対日言論分析』Qi Jing Ying(日本僑報社)
『米国発ブログ革命』池尾伸一(集英社新書)
『インターネットは民主主義の敵か』キャス・サンスティーン(毎日新聞社)
『場所感の喪失』ジョシュア・メイロウィッツ(新曜社)
『インフォコモンズ』佐々木俊尚(講談社)
『アーキテクチャの生態系』濱野智史(NTT出版)