2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第7回 藤田先生 6月10日 3/12
サイバー・アジア 都市のデジタル・ネイティブたち
■インターネット普及の現況(2009年3月現在)
今、インターネットの世界での使用状況がどうであるのかについて少し数字をご紹介します。現在、67億人といわれる世界の人口のうちの37億、56%程度がアジアの人口です。また、世界で約16億人がインターネットを利用しているという統計がでています。これが更にアジアの場合、6億5千万人程度です。簡単に言うと、世界の4人に1人、アジアの6人に1人がインターネットを使っている、平均的に見るとすごい数字なんですね。実は、中国では今1ヶ月に600万人の勢いでインターネットを利用する人が増えている。世界各国でみますとアメリカがインターネットの利用者数トップ。ところが、実は昨年の6月に中国が抜きました。中国は世界一のインターネット利用者数になりました。人口比ですから当たり前といえば当たり前ですが。実は日本は利用者数では世界3番目なんです。日本というのは、戦後ある意味アメリカときっちり密着して生きてきたこともあり、コンピュータやインターネットにおいても比較的早く導入してやってきた経緯があります。最近は、インドも猛烈な勢いで増えてきている。もちろん、経済成長というものとインターネットの利用率というものは、産業の近代化、教育の近代化とともに、日々変化している状況です。いくつもの人口大国を抱えるアジアというのは、経済成長とともにネット利用者も増え、技術者も増え、マーケットも拡大する。情報社会が推し進める「個人化」のパワーにより、世界はアジアという情報社会、マーケットを無視せざるをえなくなるんです。
アジアでの利用者比率で見ると、日本、韓国、シンガポール、台湾、香港が並びます。いずれも近代化を達成した小国です。ヨーロッパでは、北欧が同様の数字を示しています。
また、この問題をもう一つの側面、ネットでの使用言語で見ておきましょう。世界のインターネットを使っている人達の言語をみると、やはり中国語というのは刻々とインターネット上でも大きくシェアを高めていく。しかし世界の公用語といわれている英語はこれからも伸び続けるでしょう。世界の国の人は、まず英語を勉強します。もう一つの言葉、スペイン語の問題というのは過去の植民地の問題というのもあって、中南米での拡大が著しい。日本人の日本語というのは、今まで基本的にほぼ日本人だけが使っていましたが、今アジアからの留学生が日本語をどんどん勉強しにくることにより、日本語というのが他の国の人達によって普及拡大され始めてきているということですね。実はネット上には、170カ国以上の言語のウェブサイトが乱立しています。どんな少数言語でもウェブサイトはあるようです。情報化のグローバルな進展は、同質化と多様化を共にキャッチアップしているともいえるのでしょう。

参考:世界のインターネット統計 Internet world stats

■ネットワークと社会変動
  インターネット・ヒストリーは、大きくいうと60年代から70年代に通信の基礎技術ができ、80年代から90年代に世界のネットワーク・インフラが形成され、90年代前半にブラウザを中心とする基本ソフトが開発され、90年代後半からそれらのビジネス・大衆化、そして21世紀に入り高速・大容量通信としてのブロードバンド化、さらに近年の無線ネットワークの進化という流れを辿っています。
  日本と韓国というのは、実はこのブロードバンド環境においてはトップクラスです。アメリカ、日本、韓国というのは世界の三大ブロードバンド大国といわれているわけです 新しい技術が急速に社会に普及し始めると、それによる弊害、社会との軋轢も急速に生じてきます。世界のネットに関連する事件、犯罪等、リアルな現実社会に及ぼす様々な問題は、これらの先進国に先鋭的に現れてきます。これらの「情報先進国」は、来るべき情報社会の実験場と化していると言っても過言ではないでしょう。工業的な経済成長は国によってまだまだ違うにもかかわらず、情報社会は今世界で同時進行しつつある、という驚異的な現象が起きている。世界の大都市部において若者を中心としたある種の共通化した社会問題が立ち上がってくるという、非常に不思議な状況になってきているのではないか、と思います。