2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第7回 藤田先生 6月10日 7/12
サイバー・アジア 都市のデジタル・ネイティブたち
やがてそのネットメディアの中から、非常に弁の立つ、また論の立つ人というのが突出してくる。ブロガーと呼ばれる一群が世界中に現れつつある。そして、この人達を一般の人が読む、共感する、もしくは交流・議論する中で、いわゆる「ネット公共圏」的な環境が生まれている。これは、今まで社会情報を管理・統括する役割を果たしていたマスメディアにとって大変な脅威を及ぼし始めています。現在、ネットが一定の普及を見せた社会の中では、この双方のメディアから発信される情報や意見が乱反射する形で、大きな「世論」を形成する状況になりつつあります。
韓国においては、21世紀初頭の段階から30代以下の層の中で、大変な勢いでこの浸透が起きました。まだまだ「社会」に対して未熟だったかもしれない層が、既存マスメディアに対しての、「もう一つの社会」というのを作り始めた。インターネットは幻想でも何でもなくて、現実に誰かがどこかで何かを書いているわけです。常に発信する端末の背後に人間がいる。ただ、大きな問題は、この環境がどちらかというと「匿名社会」を形成し始めている、ということです。このネットの匿名性については、国によってかなり多様性があります。

■SNS(Social Networking Service)

これがもっと集団的に「コミュニティ」という形で集まった仕掛けがSNSで、日本ではmixiと呼ばれているものがよく知られています。数年前から全世界で爆発的に流行し始めたシステムで、アメリカでは My spaceFacebook を代表として無数にあります。これは、正にオバマを大統領に持ち上げたSNSとも言われています。今の日本でも、こういうプラットフォームにより、数万の公私様々なネット・コミュニティというものが続々と生成しています。5人、10人でやっているものもあれば、100人、1000人、何十万人でやっているようなコミュニティもできている。そういう現実の世界のコミュニティと違う、距離と時間を超えて繋がりあうコミュニケーションの装置が生まれている。
韓国のSNSである「サイワールド」には、なんと若者の9割、韓国国民の1/3が、実名で登録して人間関係を作る、人脈作りサイトになっています。よくも悪くも、アジア的コネ社会がいよいよネットにも復活してきたのかと思うばかりです。

中国でも実はこれは2005年頃から、ものすごい勢いで浸透しています。「校内網」という学校を軸としたネットワークも広がっている。北京大学なら北京大学のコミュニティ、そのOBの人達という形で、インターネット上にどんどんサイバーな人間関係の構築がされ始めている。
日本でも30代の社会人では友人つくり、人脈つくりにさかんに活用されています。20代に至っては、もはややっていない人はいないだろうという勢いです。もちろん、そのときの「コミュニティ」の持つ意味については、様々な角度から慎重な議論が必要なテーマだとは思いますが、ともあれ私たちはこういうリアルのコミュニケーションとネットコミュニケーションが複雑に交錯する社会で生き始めている。