2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第8回 藤田先生 6月17日 2/10
ユビキタス・アジア 「環境化」する情報技術と都市
中国というのは、現在強烈な勢いで進行するインターネット社会に対し、かなり焦っている。国家的に小学生からの本格的なIT教育を開始したのは、2000年に入ったあたりからです。普及が加速し始めた2003年から毎年毎年、少しずつ色々な検閲やコントロールを始めているんですが、とても追いつかない。日本やアメリカというのは見てのとおり、「自由と言う名の市場」に委ねたがゆえに、ネット社会とビジネスのバランスも、コントロール出来ない状態になっている。テクノロジーへの期待だけでないある種の焦り、不安がICTサミットでの各国の対応の中に出てきている。
このような少々不安定な技術と社会の再編成期において、あらたな情報社会管理技術としての「ユビキタス」という概念が現実化しつつあります。今回は、このコンセプトが具体的なテクノロジ-として、如何にアジア社会に浸透しつつあるのか、について概説します。

■ユビキタス(遍在化)・ネットワーク 「環境化」する情報社会
ユビキタスというのは、あらゆる場所にネットワークがある、ということです。ネットワーク化されたコンピュータによる情報通信環境が、この社会のあらゆる場所に配置される、そういう情報社会が生まれますよということを、80年代アメリカの技術者、科学者が提唱しました(アメリカでは、MITメディアラボのM.ワイザー、日本では東大の坂村健)。ひとつの情報未来社会の概念モデルです。それはもはや僕らが積極的、意識的にコンピュータ、インターネットに関わるのではなく、あたかも水や空気のように、社会に情報環境、ネット環境が配置され「環境化」する、そのような社会が今後何十年かの中で到達するのだ、という考えです。人と人のネットワークだけでなく、人とモノ、さらにはモノとモノ同士が自動的に通信し、情報を受発信する、という社会システムが構想されています。これは、ITによる社会の「自動化」の究極形態と言えます。

■携帯電話とPCの融合 スマートフォン(smartphone)
  私が今持っているこの「電話」(写真右)。i-phoneという商品です。もはや、これはコンピュータです。コンピュータに電話もついたという機器。これがスマートフォンと呼ばれているもので、実は全世界の個人情報端末の大きな流れは、こちらのほうに動いています。右はアメリカで最も使われているブラックベリー(blackberry)というもので、アメリカの若手ビジネスマンはかなり持っていますね。オバマも大統領選中、これを常に持ち歩き使っていた。この2つの機器が世界のシェアを着々と奪っている状態です。