2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第8回 藤田先生 6月17日 5/10
ユビキタス・アジア 「環境化」する情報技術と都市
中国は、78年の改革・開放以来、特に1992年以降の本格的な経済成長期からは、粛々とインターネットのインフラ開発に入り、それがほぼ出来上がった2000年くらいからは、ビジネス化、大衆化、それと併せて教育の徹底を図ってきた。更にここ数年は経済だけでなく、社会全体にITというものを拡げていくユビキタス環境化に踏み込んでいっているようです。そういうものは、まず公共交通基盤を中心に現れてきているようですね。

では、次に「ユビキタス・アジア」の具体的な状況を、いくつかの都市の施設をサンプルに見て生きたいと思います。

■シンガポール/チャンギ空港の無線LAN
これはシンガポールのチャンギ空港です。空港の一角に、無料で使えるコンピュータエリアがあります。ビジネス客のみならず、観光客向けもあります。また、無線LAN環境も整備されている。空港という国内に入った時点から、登録すれば自由に使っていいですよ、と「Wireless@SG」というサービスで無線LAN環境を与えてくれる。これは、観光・ビジネス客向けと国内向けに分けられた通信環境です。かなり徹底していますね。入り口からそういう「歓迎」を受けるわけですね。

■シンガポール/ERP 自動電子料金徴収システム
  これは「Electric Road Pricing System」という、都心中央地区への電子ゲートに設置されたセンサーにより、走行する車載器との情報交信で、料金を自動徴収する交通システムです。いわゆるETCのひとつです。東京都の石原知事が視察の際、非常に感心し「これはすごい、うちでもやろう」と言ったとか。といってもなかなか東京では、そう簡単にはいかない。かつて東京23区くらいのシンガポールは、渋滞がひどかったわけです。これを自動料金徴収システムにより交通量のコントロールをしようと考えた。また、その料金が交通量との関係で変動する。つまり、そういう形で都心への車の入りと出をコントロールするという交通システムです。もう10年くらい経っているのかな。一応、これで渋滞もなく成功しています。ITにより、快適な環境が構築できたよ、でもお金次第だよ、ということです。それでも欲しい人は車を買いなさいよ、というような国民との「契約」を、シンガポールはしているということです。