2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第8回 藤田先生 6月17日 6/10
ユビキタス・アジア 「環境化」する情報技術と都市

■シンガポール 無線IC型公共交通カード Ez-link
もう一つ、交通カードでいうとEz-linkというのがあります。これは地下鉄ですね。アジアの各都市部はこの電子マネー型無線ICカードが普及しています。シンガポールの場合、これがさらに徹底していて、ほぼあらゆる交通機関はこれで乗れる。1996年に導入され、2002年からはさらに公共交通網で共通して利用できる現在のシステムになりました。これ1枚買っておくと、だいたいシンガポールの乗り物というのはOKです。日本は地下鉄、JR、私鉄を共通化させるだけでも相当時間がかかりましたけれども。今後、このカードを携帯電話に搭載するため、NTTドコモと提携し開発を進めているようです。
ITによるシステム構築というのは、良くも悪くも一気にシステム再編をやってしまったほうがいいものが出来るときがある。つまり、お互い異質でバラバラに設計されたものを後でつなぎ合わせるのは大変時間がかかり、かつ困難です。日本で、各銀行システムの統合などが大変苦労していることを見てもわかるとおりです。それはやはり国家主導のIT政策か民間=市場主導のIT政策かの違いということですね。また、このカードはコンビニやいろいろなお店の支払いでも使えます。つまり、どこでも使える公共電子マネーカードに、なりつつあるわけですね。これも、かなり必然的な方向性だと感じます。

■香港 無線IC型公共交通カード オクトパスカード(発達通)
香港には、オクトパスカードというのがあります。1997年より稼動しています。これで、香港の地下鉄、バス、トラム、フェリー等の交通機関を網羅しています。駅のみならず、店舗、自動販売機等での支払いカードとしても利用されています。これは、マクドナルドの支払い端末ですね。このオクトパスカードも、名前は違えども、Suicaとほぼ技術的には同じものです。アジアの都市部では、このような共通の交通用自動料金徴収システムが導入されてきているということです。他にも上海などでも同様の公共交通カードが2000年ごろより、急速に普及し始めています。これをさらにアジア全体で相互利用可能なものにしていこうという動きが、経済産業省を中心にシンガポールや中国、韓国の間で起こってきている。それはアジア域内のビジネスインフラの共通化、一つの経済圏としてアジアを見る際に必要な情報基盤ということを、かなり強く意識しはじめた証左かと思います。