2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第2回 梶原先生 4月22日 1/7
地上の楽園:アジアのヒル・ステーション(ダージリン、パギオ等)
<ヒル・ステイションとは>
今日、取り上げますのは、ヒル・ステイションという少しかわった小都市のことです。ヒル・ステイションという言葉は、そんなになじみのない言葉ではないと思いますが、総じて19世紀を中心にイギリスによるインド統治の場面で、ヒルという言葉が示しますように、高い所、丘の上、山の中、冷涼な高原に、イギリス植民地政府が、今日でいうリゾートのような場所を何カ所か造りました。そのヒル・ステイションと呼ばれるような人工的に造られた、そんなに大規模ではない都市についてお話をいたします。
インドには15カ所以上こういうものが造られておりますけれども、有名な所でいうと、シムラという都市があります。これはインドのデリーの北方の、ヒマラヤに近い海抜2,000メーターぐらいの涼しい避暑地です。さらにいくつか付け加えれば、紅茶で有名なダージリンですね。それから、最近ハイテク、ITで有名になったバンガロール。ダージリンは、ご存じのように、インドの地図でいえば、右の方の上の方で、いわゆるベンガル地方、カルカッタからバグドゥグラというところに、飛行機で1時間半ぐらい飛んで、そこからさらに、軽便鉄道か、自動車で3時間ぐらいかかります。ミニ機関車が、ミニ客車を引っ張る、簡単な狭軌の鉄道が走っています。
それからバンガロールは、ソフトウェア産業のインド最大の集積地で、日本企業もたくさん行っております。ここは北ではなくて、どちらかというとインドの南の方ですね、ムンバイから、またしばらく行ったところです。日本語のバンガローという、あの言葉の発祥の地ですね。実際のバンガローはもうちょっと立派ですけれども、バンガロールから来たと言われております。インドですと、他にはオータカムンドとかいろいろありますけれども、この3つぐらいが日本でも有名なところです。
それからとなりのスリランカへ行きますと、ヌワラエリヤという中部の高原地帯。これも2,000メーターを超えるような高いとこですけれども、ここもご存じのように紅茶で有名なとこです。スリランカ、当時のセイロンが、イギリスの植民地になりましたときに、コーヒーと紅茶を植えて、コーヒーの方はあまりうまく行きませんでした。アッサムから紅茶の木をヌワラエリヤ、あるいはその周辺のデインブラなどに植えて、今日でもティーエステイトとして、紅茶の生産が盛んに行われている場所です。1820年当時にヌワラエリヤが、イギリス人によって発見されて、それから建設が始まって、1800年代の半ばから本格的なヒル・ステイションとして発展していきました。
その他の国では、マレーシアのキャメロンハイランドがあります。ここは、2,000メーターはありませんけれども、マレーシアの中では比較的高原地帯で、涼しい所で、やはりお茶が作られたり、花が作られたり、今日では野菜の栽培が行われたりしています。ここも、インドのあるいはスリランカのヒル・ステイションほど本格的ではありませんけれども、そうした趣旨で造られています。
ベトナムは、フランスが造ったダラットという所があります。それからフィリピンでは、アメリカが造ったバギオ。ダラットも標高1,500~1,600メーターあると思いますし、バギオも1,500メーターぐらいで、マニラから車で3時間、飛行機で40分ぐらいの所ですが、いずれもイギリスの近代的なモデルとしてのヒル・ステイションに倣った避暑地です。
日本の軽井沢や上高地も同様に外国人によって拓かれた避暑地です。先ほどお話ししましたように、ヒル・ステイションは人口規模で言うとそんなに大きな場所ではありません。もちろんバンガロールは、都市として、その後、非常な発展を遂げましたし、産業の中心地としても、先ほどお話ししましたように、世界的ですので、人口がどんどん増えて、現在では大きな都市になっております。