2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第12回 土佐先生 7月15日 1/9
コロニー都市が夢見る理想:香港/シンガポール/ドバイ
前回は、私が比較的よく見知っているソウルについてお話しました。それが歴史の変遷のなかで、日本の植民地支配という歴史を乗り越えて自分たちの町をつくっていく、ある種のナショナリズムの原理に則ってソウルという町を作っていった過程についてお話をいたしました。しかし、その結果出現したのは無国籍的な空間であるという矛盾や逆説があるということもお話しました。
今日はある意味で非常に対照的な、しかしどこかで共通しているお話をしたいと思っています。そして、この3つの都市というのは、私がよく知っているというわけでは必ずしもございません。香港については10回近く行ったり来たりを繰り返しておりますけれども、シンガポールは2、3回くらいしか行ったことありませんし、ドバイにいたっては1度しか行ったことがありません。それでも現代アジアにおける都市のこれからの展望ですね、これまでの歴史とこれからの展望を語るときに、この3つの都市が代表する流れというのはやはり避けて通れない。最終回に何が相応しいかなと考えたときに、この3つの都市をまとめてお話する必要があるのではないかと感じました。必ずしも私がよく知っているというわけではありませんが、そういう趣旨のお話をしたいと思います。
3つの都市の位置をまず確認しておきますと、シンガポールは赤道直下の非常に暑いところですけれども、気候からいうと3都市とも似たり寄ったりです。香港も気候からいうと温帯と亜熱帯の中間みたいなものです。ドバイに至っては夏の日中の平均気温がだいたい40度以上です。ひどいときは50度を超えるという、そういう凄まじい気候です。そして3つの都市ともつい100年前に遡ると、前回のソウルもそうでしたけれども、それよりももっとはるかに辺鄙なところでした。100年経って、あっという間にものすごい成長を遂げたというところです。
急速な発展とともに誕生した都市空間というものが、歴史と繋がっているというよりは断続している。まず、次の3枚の写真がどこの風景か、ぱっと出されたら誰にもわからないと思いますね。3つの都市に共通している空間性というのはこういうものです。超高層ビル。20階をこえるようなビルの中にみんな住んでいるということです。ちなみに、順番に香港、シンガポール、ドバイです。そういう個性というものが絶対に感じられないと思います。その中で営まれている生活というのも非常に近い。気温まで一緒です。