2009年度 世田谷市民大学 連続講義


「現代アジア都市の肖像」

第12回 土佐先生 7月15日 2/9
コロニー都市が夢見る理想:香港/シンガポール/ドバイ

ドバイは外が50度のときも中はだいたい20度くらいに保たれています。ちょっと調べたところ、いずれの都市もエアコンの温度はだいたい21度から22度くらいに設定してあるようです。行かれたことがある方はご存じだと思うんですけれども、灼熱の国なのに日本人はむしろ寒いと感じます。東京の夏はちょっと前まで25度とか26度、最近はエコとかうるさくて28度に設定されていますよね。ですから、向こうの人がくると日本の室内は反対に非常に暑いと感じるはずです。そういう具合に、気候、風土、歴史とか伝統を飛び越えて、ある種の人工的な、共通した空間性がこの3都市を貫いているということを、頭の片隅に留めておいていただけると話がつながりやすくなると思います。

それでは、まず香港です。これは19世紀の写真ですけれども、イギリスによって開港された後の風景だと思います。その前というのはもっと寂れた漁村でした。この当時の人口というのは、1841年の時点をみますと5,650人くらいしかいなかった。船上生活者とか、そういう人達も多くいて、貧しいところでした。次は現在の香港ですけれども、香港といいますとまず老朽化した高層アパートが並び立つというイメージがあります。それはこの3つの都市の中では一番長い都市の歴史を持った町だからです。たしかに、洗濯物がたくさん干してあるような、老朽化した高層アパートもあるんですけれども、一方ではモダンな超高層ビルが林立していて、ニューヨークか香港かといってもいいくらいの、非常に高密度の都市空間が実現されていて、特に夜景の美しは有名ですよね。
ニューヨークとか香港に訪れてから東京にくると、間違いなく東京の町がみすぼらしくみえます。これはもうしょうがない。目の慣れといいますか、ビルの密度が全然違います。世界の中でもニューヨークと香港というのはずば抜けていると思います。もう一方では、道路にはみ出した看板なんかが、香港の特徴的な風景ですよね。日本人がみると「これ大丈夫かな」、「落ちやしないかな」と思うんですけれども、実際によく落ちるそうです。落ちていろいろな事故が起きたり、時々は本当に人が亡くなったりするそうですけれども、やめられないようです。