2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第9回 福田先生 6月16日 5/7
中国の家族 改革開放がもたらした家族の変容
高齢者問題
高齢者問題をもう少し見てみますと、これは2000年の年齢別人口データと、それに基づいて算出した2025年のデータです。これを見ていただくと、既に15歳から19歳の世代は人数が少なく、2025年までいくと60代70代の高齢者がかなり増えるという見通しが分かります。しかも、中国についてよく指摘されるのは、日本やそのほかのアジアNIEsの国々のように、経済がある程度発展してから高齢化するのではなくて、まだまだ発展の途上にある状態であるにもかかわらず、高齢化が始まってしまっていることです。このような場合、国家の政策として高齢化への対応を行うのが難しいと言われています。
それから、より長い目で見ても―一人っ子政策をやめるかどうかということが検討されはじめてはいるようですけれども、出生率は低いわけです。これは一人っ子政策だけの問題ではなくて、今は中国の社会全体が変わってきていますので、たとえ一人っ子政策をやめたところで、若い人たちは子供を沢山欲しがるのかどうかということが疑問視されています。つまり、この人口構造は変わらず、高齢化は必ず訪れる問題だということになります。既に最近では、「空巣老人」と言って、自分の伴侶を先に亡くされて、自分の子供たちも遠くや外国にいるので、誰にも看取られず、自宅で一人孤独死をされる老人の存在が問題化してきているようです。

「社区」設立の背景
こうした問題への対応として、今までの単位制に代わるものとして、「社区」というものが都市部で注目されています。単位制が次第に社会的な役割を果たせなくなった後、その役割を担ってくださいといわれた居民委員会も上手く機能できませんでした。問題が多すぎて、様々なことをきちんと対応できなかったわけです。これが「社区」に注目が集まる理由の1つです。
それから、改革開放に伴い、それまでのように単位から与えられた住宅に住む人もいまだに多いのですが、それ以外に住宅が商品化されて、好きなところを買ってそこに住んでもいいように、中国の住宅事情も変わってきています。北京や上海など大都市の物件に関しては、非常に競争が激しく、価格が高騰しているのが現状です。そうすると職場と居住地の一致を基礎とした単位や居民委員会では、人々の生活を管理するのが難しくなってきます。これが居住する場所を拠点とした「社区」に注目が集まるもう1つの理由です。
さらに、先ほどお話しした、家族自体の変化もあります。4:2:1構造になって生活のスタイルが変わってくる。経済的にも豊かになって、よりよいサービスを求めるようになってきたわけです。そのことを説明しているのが、先ほどの「単位社会から社区社会へ」というこちらのプリントです。左は本来の単位制だったときの図です。すべてが会社から与えられていたわけです。しかし、右側にいくと、単位は単位で職場にあるけれども、それとは別に自分が住んでいる場所を基礎とした社区というものができて、社会保障、生活・余暇におけるサービス、老後のさまざまな楽しみ、そういった部分はこの「社区」という「コミュニティ」で受けていこうという傾向が出てきています。