2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第10回 福田先生 6月23日 4/8
台湾の家族 「外籍新娘」や「大陸新娘」がつくる新たな家族
中国や東南アジアに目を向けてみると、台湾へだけではなくて、女性たちが、よりよい暮らしとか、よりよい職業、それから収入を増やして家族へ仕送りをするというようなことを求めて海外で結婚することは、最近増加しているようです。「それを目的としている」という言い方はあまりよくないと思いますが、そういったことをすべて検討した上で、国境を越えて結婚することにあまり抵抗感ないというか、そういった現象があるといわれているようです。
これは私の専門ではありませんが、社会学とか家族学の中では、こういう結婚を表わす「ハイパガミー」という言葉もあって、日本語に訳すると「上昇婚」というのだそうです。結婚することによって、自分の生活とか収入というものが上昇するという意味で、東南アジアの中でも、東南アジアから中国、日本へも行われています。中国でいえば、中国の都市と農村の間でもたぶんこういった動きがあるでしょうし、中国から日本へお見合いに来るというパターンも、最近過疎化が進んでいる地域では多いようです。こういった双方の需要が合致して、そういったカップルが増えているというのが現状なのではないかなというふうに思います。基本的に、結婚というのは個人の自由ですし、別に国境を越えてはいけないという決まりはどこにもないので、この状況は「まさにグローバル化だ」ということになるかと思いますが、それぞれの国家・社会においては、なかなかうまくいかない問題もあるようです。

外籍新娘/大陸新娘の抱える問題
まず、台湾の場合よくいわれていることが、こういった結婚は双方の需要が合致していれば、あとは個人の自由だということでしょうが、本当にそれで済むのかということです。つまり、嫁ぐ前と嫁いだあとのギャップというものがあって、かなり女性たちを追い込んでいるということが最近よく指摘されています。
まず1つは、女性たちが台湾に来たとしても、嫁いだ先の男性の学歴、収入、社会的地位が台湾であまり高くない、中には仕事をしていない人だったとか、見せられた写真とは別人だったとか、そういったトラブルが結構あるというふうにいわれています。もちろん、上手くいっているケースも沢山あるかとは思いますが、そのような事件が連日報道されたり、テレビドキュメンタリーが流れたりしています。相手の男性たちが従事している職業というのは、農業とか、あとは、都市ではなくて、田舎の自営業の場合が多いようです。嫁いで何年かはいいとしても、夫が職をなくしてしまって、女性が一家を養わなければならなくなったという話も聞きます。しかし、彼女たちは定職に就けたとしても、その多くが介護などの基層労働だと言われています。これは、台湾政府の政策や台湾社会の期待だけではなく、彼女たちが台湾の高学歴の女性たちと同じ仕事に就くということは現実的に難しいという理由もあります。まず、言語の問題があります。中国から来たお嫁さんの場合、言語の問題はないですが、東南アジアから来たお嫁さんの場合は、言語を習得するというところから、台湾での生活が始まります。