2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第10回 福田先生 6月23日 5/7
台湾の家族 「外籍新娘」や「大陸新娘」がつくる新たな家族
子供が生まれると、子供の教育問題も出てきます。特にベトナム、タイのお嫁さんの場合というのは、自分もまだ言語をほとんど習得していない状態で子供が生まれまして、初めは語学学校に通っていても、子供が生まれるとなかなか学校に通わないので、ほとんど日常会話ぐらいしかできないのに子供が生まれてくる。その子供たちも、言語の習得状況は不十分で、小学校に上がる段階で、既にほかの子供たちといっしょに勉強できないというようなことが問題になっています。
それから、台湾社会における差別というか、うまくいっている家庭であったとしても、やはり外国人妻、中国人妻というのは、ちょっと恥ずかしいというか、少し下に見たような見方が根強いといえます。例えば、外国人花嫁とか中国人花嫁の場合は、きちんとした結婚式を挙げることは稀なようですし、社会的に隠されていることも多いです。

大陸新娘の処遇をめぐる問題
こういった社会的な問題だけではなくて、政策的にもさまざまな問題があります。特に、政策的な問題となっているのは、中国人妻の処遇です。中国人妻に対する政策を巡って、ここ10年ぐらい、台湾の政治は論争を繰り返してきた状況がございます。
最も重要な規制が台湾籍の取得に関する規制です。居住して何年間経って、しかも年月の間、毎年何日間台湾にいたとか、子供を産むとちょっとその期間が短縮されるとか、国籍取得を目的とした結婚を防ぐために細かい決まりがあります。この決まりに関して、一般的な外国人妻、ベトナムとかタイからくるお嫁さんたちは、4年継続して台湾に居住していれば取れたわけです。そして、就職に関しても職さえ見つかれば問題がないという状態でした。そしてもし、夫に何かあったりしたら、相続権に関しては台湾人の奥さんと同様、相続権は無制限にあるということでした。
しかし、非常に長い間、中国人妻に関しては政治的な理由から、他の外国人妻とは区別してきました。台湾より中国のほうが圧倒的に人口が多いですので、中国人妻が大量に流入することへの警戒感もありまして、厳しい規制を課してきました。この2009年に規制が緩和されましたが、それまでは台湾籍を取得するまでに最短でも8年かかっていました。そして、2年間居住、もしくは子供を産むまでは就職することができませんでした。中国でも台湾でも、専業主婦という考え方はあまりなくて、奥さんも何らかの仕事をしているということが多いわけです。やはり中国大陸から来たお嫁さんも仕事をして自分も豊かになりたいし、家族に仕送りをしたいと考える人も多かったのですが、就職ができず、相続権に関しても金額の上限がありました。
この写真は、2009年以前に台湾でなされていたデモ活動の写真です。中国妻の人たちというのは、自分たちの待遇をほかの外国人妻並に改善してほしいということで、ずっとこういった運動を展開してきました。中国政府として中国人妻の待遇を批判したことはなかったと思いますけれども、中国でもかなりこの状況は批判的に受けとめられてきました。私がたまたま出張で中国に行ったときにテレビをつけたら、台湾に嫁いだ中国人妻のドキュメンタリーを放映していたことがあります。彼女が台湾で差別され、仕事もできず、家族の面倒を見て、夫のお父さんお母さんの介護までしているのに、何も得るものがなく、苦しい生活を送っている...というような、悲惨な内容のドキュメンタリーでした。