2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第10回 福田先生 6月23日 6/7
台湾の家族 「外籍新娘」や「大陸新娘」がつくる新たな家族
そこで、2008年の台湾の総統選挙では、こういったいわゆる「新移民」の人たちに対する社会福祉向上とか権利の保障が、選挙の争点の1つとなりました。当選した馬英九現総統は、中国との関係を改善するということが1つの公約でした。彼は、中国との関係を改善しながらも、民主や人権を掲げることで、台湾の独立性を保っていこうという戦略です。その観点から言えば、中国人妻たちの待遇改善は絶対に掲げなければいけない選挙公約でしたし、やりようによってはかなり自分の立場を上手くアピールすることができる政策だったと言えます。実際に、彼は選挙公約にこの大陸の中国花嫁の待遇改善ということをかなり積極的に掲げていました。
馬英九総統は2008年総統選に勝つと、翌09年までに中国妻に対する待遇を若干改善しました。台湾籍の取得ということに関しては、やはりまだちょっと慎重でして、面接、継続して台湾に居住していることの確認など、様々な規定があります。とはいえ、期間としては最短で6年継続して居住していれば、台湾籍を取れることになりました。就職に関しては、居住と同時に可、それから相続権も無制限というふうに、就職以下の決まりに関しては、ほかの外国人妻と同様になりました。それ以外にも、こういった人たちに対する差別をやめようとか、そういったキャンペーンをかなりやっています。この下の写真というのは、この法が変わったときに、こういった中国妻の人たちを各地に集めて行った説明会の模様です。説明会には、このような政策を管理している役所の政治家の人もきちんと来て、この中国妻と抱き合ったり、握手をしたりしてアピールをしています。
中国人妻をめぐる議論について、今の政権がよく展開する主張はこういったものです。「目下、台湾には26万人の大陸籍配偶者を有する家庭があります。それは26万の台湾の家庭が大陸籍配偶者と共にあるということを意味します」。つまり、今の政権の立場というのは、「いくら大陸籍配偶者であっても、もう台湾に来ている以上は、台湾のひとつの家庭だ」というような説明の仕方をしていて、「彼女たちは台湾人の息子の嫁であり、共同体の一員であり、台湾の子供の母親である」というキャンペーンを行っています。政府が作っているCMをあとで見ていただきますが、そこでもこのような言い方をしています。

政治的争点であり続ける大陸新娘
しかし、中国人妻をめぐる論争はまだ終わったわけではなくて、早速、野党系の新聞なんかは、規制の緩和によって、台湾籍を取得するとすぐに中国に帰ってしまう、実態がない結婚が増えたというキャンペーンをしています。現政権は、これに一生懸命反論しています。おそらく、まだしばらくの間は、中国からくる花嫁たちの待遇をどうするのか、こういった人たちが増え続けるということをどうするのかということが、台湾においては政治的な争点になるのではないかと思います。これから、台湾政府が作ったCMを、解説をしながらお見せしたいと思います。

<動画>

このように、中国人妻も新時代の台湾人なので共に歩いていこうというようなCMを、政府は流していて、差別をなくそうということで一生懸命がんばっています。ただ、なかなか実際には難しいところもあるわけです。