2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第5回 松岡先生 5月19日 5/9
インドの家族1 大家族制から核家族へ
それとか、「スリムで美人の女性」という広告ですが、この人はカーストを「Caste Dhobi」と書いています。ドービー、つまり洗濯屋さんは人の汚れ物を扱うというので、一番下のカーストになっているんですけれども、自分はここのカーストですよというのを明かしている。これも非常に近代的になってきたな、開けてきたなという感じがします。
こんなふうに読み込んでいくといろんな要素が出てくるんですけれども、これを見て親が、「この娘さん、ひょっとしてうちの子にいいんじゃないかしら」ということで、ここに書かれているメールアドレスとか電話番号に連絡して、よしということになると次に進んでいきます。最近はネットの結婚斡旋サイトもたくさんできて、ネットに自分の名前とか学歴とか相手の希望とかを入れて送信をすると相手を選んでくれる。こういうインド風のお見合いサイトも非常に盛んです。その中で人気のshaadi.com(シャーディーとは結婚のこと)のアドレスを付けておきますので、覗いてみて下さい。

http://www.shaadi.com/matrimonials/india-matrimonial

こういう選び方だと、カーストの条件もクリアして、経済的な条件も親御さんが事前チェックできるので、安心なわけです。
こうして相手が見つかると、次にやるのが本人同士のクンダリー(誕生日の星回り)の照らし合わせです。インド人は生まれた日時を、何月何日何時何分というところまで知っています。それによってバラモン階級の僧侶にチャートを作ってもらいます。そのチャートを見ながら、あなたの星回りはこれこれこれであると僧侶が言ってくれるんですが、相手のそれも出してもらって僧侶に見てもらい、この2人は星回りの相性が非常によろしい、結婚を進めても構いませんと言われるとそこから次に進む。いや、これはどうも非常にまがまがしい星回りである、この2人は結婚させない方がいいでしょうということになると、そこであきらめてしまう。こういうふうに今でも僧侶は非常に力を持っています。
クンダリーがオーケーとなると、今度はお見合いの場が設定されます。大抵は花婿の方が花嫁の顔を見に相手の家に行くというパターンなんですが、時には、非常に伝統的な家庭では、花婿と花嫁が直接顔を会わすのはまずい、それは挙式後のことであるべきだということで、両親とか、または花婿が次男だとすると長男、あるいは長男の嫁が一緒に行って花嫁候補をチェックする。「とてもいい娘さんよ。きれいで、こういう特技も持っているんですって。家事のこれこれも得意だそうよ」というふうに親たちが気に入ると、もう息子も抵抗しないんです。「絶対僕が自分で顔を見て、話をしなくちゃ嫌だ」とはインドの人は言いません。それぐらい親の言うことは絶対なんですね。親に信頼を置いている。
見合いでオーケーとなると、その次が婚約式で、そして結婚式に進むという形になります。今は海外に在住するインド人も多いので、親が決めて、相手の写真だけを本人に送って、例えばアメリカで働く息子に「何月何日に婚約式、すぐあとに結婚式もやっちゃうから帰っていらっしゃい」と命令する、そういうケースも結構あります。