2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第6回 松岡先生 5月26日 3/9
インドの家族2 映画『家族の四季』から読み解く理想の家族
●祭の日ロンドン留学から戻ったラーフルは、ラーイチャンド家の跡継ぎとして父の会社に連れて行かれます。ラーフル自身、8歳の時に養子であることは知らされていたのですが、父はためらいなく彼を跡継ぎに育てようとして誇り高いラーイチャンド家の家訓を伝え、ラーフルもこれに応えます。



父ヤシュ
30年前この部屋で、私の父が言った言葉をお前に伝えよう
人生の道はそれぞれに違う
常に正しい道を歩んで行け
誤った道を選ばぬように
そうすれば、一家の 名誉や尊厳を汚すことはない
金は稼げるが、名誉を得るのは大変難しい
わが家の伝統を守ると誓え
わが家の名誉を汚さぬと誓え

ラーフル
家名を常に高めると 誓います
常にあなたを喜ばせると誓います



●父ヤシュは、ラーフルの結婚相手に実業家仲間の娘ナイナーを選んでおり、ラーフルとも顔なじみのナイナーは、すでにラーイチャンド家の嫁的存在でした。一家がくつろいでいる場で、父ヤシュが結婚した時の話が出、ヤシュの父がパーティーでナンディニーを見初め、息子の嫁に選んだ、ということが語られます。当然、ラーフルの嫁も父ヤシュが選んだナイナーだ、という暗黙の了解で話が進められるのですが、母ナンディニーは息子の意見を聞かずに決めることに危惧を抱きます。ですが、その危惧を、父ヤシュは一方的な言葉でぴしゃりと押さえます。



ヤシュの母
これが伝統よ、家長が嫁を選んでくる、子供に任せないで

母ナンディニー 
お姑(かあ)さん、今は違いますよ
すっかり変わりました

父ヤシュ
変わらないよ

母ナンディニー
今は子供自身が・・・

父ヤシュ
違う

母ナンディニー
私は・・・

父ヤシュ
何も変わらない
言った通りだ
以上だ

    
(ここの意見の対立は、母親に味方するか、父親に味方をするか、共感する部分が観客の世代によって違うかも知れません。映画の最後では、結局ラーフルの恋愛が成就するという形で、母親の方が正しかった、今や時代は変化している、という結論になります)