2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第6回 松岡先生 5月26日 4/9
インドの家族2 映画『家族の四季』から読み解く理想の家族
●母ナンディニーの危惧は現実になります。ラーフルが下町の菓子店の娘アンジャリーと恋に落ちるのです。しかし、当然この恋は、父ヤシュの強い反対に遭います。



父ヤシュ
この家名と尊敬は先祖代々のもの
家名を守り高めることは我々の使命だ
その使命を担うのがつまらぬ家の娘とは 、私には耐えられん
考えなかったのか、娘の出自がこの家にとってはふさわしくないと
わが家の家風や文化を理解できるはずがない
わが家の慣習や誇りも理解できまい
伝統の継承など無理だ
そんな娘をよくもわが家系の一員になど
わが家の一員にとよくも考えたな


(父親は怒りにまかせて差別的発言をしますが、後半、それが間違いであったということがいろんな場面で如実に示されていきます)


●父の反対で一時はアンジャリーとの恋をあきらめようとしたラーフルですが、断りに行ったその日、何とアンジャリーの父が急死してしまいます。葬儀の場でラーフルは、母もすでになく、これから幼い妹を育てていかなければならない彼女を守れるのは自分しかいないと自覚します。そしてその決心を示すため、彼女と寺院で結婚式を挙げ、彼女を連れて自宅に戻ります。当然、父ヤシュは激怒します。



父ヤシュ
今日お前は、私の実の子でないと証明した
血が違うのだ
お前は、私の血を継いではいない

ラーフル
パパ

父ヤシュ
呼ぶ権利はない

ラーフル
僕は他人ですね、他人なんですね

母ナンディニー
約束して
息子を幸せにすると約束して
お行き

アンジャリー
お父様の祝福がまだ
お父様の祝福をいただいてないわ


(ここで早くも、アンジャリーが、父親に祝福してもらっていないことで結婚が不完全と考える、非常に伝統的な考えの女性だということが示されています。以後の場面でも、彼女のよきインド女性ぶりがたびたび描写されることになります)