2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第3回 宮脇先生 4月28日 2/10
モンゴルの家族1 歴史上の結婚関係と部族同盟
これは砂嵐が来たところです。小さなゲルが4つ、向こうの方に見えます。これが遊牧家族の1単位です。1つのゲルは日本でいうと10~12畳くらい。お父さんとお母さんと、小さな子供が3人くらい1つのゲルで寝ますけれども、子供が大きくなってお嫁さんをもらったら、別のゲルで暮らします。でも1家族だけだと家畜を放牧するのに人出が足りないんです。
モンゴルでは、羊・山羊・牛・馬・ラクダを5畜と言います。5種類とも持っている家族はあまりいませんが、だいたい4種類は持っています。羊と山羊は一緒に放牧します。羊はあんまり賢くなく進取の気性に富んでいないので、河があったら立ち止まって渡ることもできない。ただボーッと立っているんです。ところが山羊はどんどん行きますから、つられて羊も動く。「さまよえる子羊」っていうのは本当らしいです。
馬は早く走りますから、別に遠いところに連れていくのですが、馬は歯があるから草の上の方を食べる。だから、一番いい草原に最初に馬を放します。馬が別のところに移動したら、次に羊や山羊を連れていって食べさせる。全部食べて根っこがなくなったら来年困るから、ある程度のところで人間が違うところに移動させる。牛はゆっくりしか歩きませんので、ゲルに一番近いところで放牧します。これでわかるように、少なくとも男手が3人は必要なわけですよ。それで、お父さんの兄弟が一緒とか、大きくなった息子が手伝ったり、血縁関係のない友達と一緒というのもあるんです。これが遊牧の最小単位です。
次の写真は右の方で雨が降っています。本当に360度見えるってこういうことかって思います。もちろん夜は満天の星空です。 モンゴルの家族について調べましたけど、ドロドロとした家族の小説とか全然みつからない。人間関係が淡々としているんです。一生こんな自然の中で暮らしていたら、日本の田舎で暮らすのとはぜんぜん違うということがわかっていただけると思います。