2010年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの家族」

第3回 宮脇先生 4月28日 8/10
モンゴルの家族1 歴史上の結婚関係と部族同盟
遊牧民は末子相続
ジョチ、チャガタイ、オゴデイ、トルイの4人息子がけんかをしないように、チンギス・ハーンは生前に遊牧する場所を分けました。それで、長男が一番遠いところのカザフやロシアに行ったんです。遊牧民は長男から家を出て行くんです。先に成長した息子は、家畜を分けてもらって先に出て行き、最後に末っ子が残って親の面倒をみる。これを末子相続制と呼びます。日本の長子相続みたいに末っ子が家督全部を継ぐんじゃないんです。平等に均等相続した最後に、親の住んでいたテントは末子が相続するんです。だから、遊牧民は末っ子が一番親に似ると言います。それで私は『朝青龍はなぜ強いのか』(ワックブンコ)で、モンゴルには長幼の序がないと言ったわけですよ。
ロシアの民話は、「イワンの馬鹿」でもなんでも、3人息子がいたら末っ子が成功する話が多いでしょ。あれも遊牧民的発想です。ロシア人ってもともと半分遊牧民ですもの。そんなこと言ったら中国だって半分遊牧民でできています。だから、歴史も、中央アジアから見ると全然違って見えるので、それが面白くて一所懸命研究しています。

モンゴル帝国時代の絵をお見せしましょう。これは、チンギス・ハーンの孫で元朝を建てたフビライ・ハーンと奥さんのチャブイ・ハトンが鷹狩りをしている絵です。蒋介石が軍艦三隻に紫禁城の宝物を積んで台湾に運んだ中にあって、今、台湾の故宮博物院の所蔵です。縦長の絵で上の方に鷹が飛んでいます。