2011年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの幸せ」

第10回 陳先生 6月22日 1/4
上海若者の幸福観
今回のテーマは「アジアの幸せ」です。このテーマを渡されたとき、とても戸惑いました。私の専門は情報科学であり、あまりにも自分の研究と離れていたからです。担当先生に「中国の人々の幸福感」について話をすれば良いと仰っていましたので、ここではそれについてお話させて頂きます。皆様にご理解頂ければと思います。よろしくお願い致します。

中国国土は960km²でロシアとカナダに次ぐ面積であり、世界第3の大きさであります。世界最大の人口、約13億4,000万人(2010年)を擁する国家であり、人口の94%を占める漢民族のほか、ウイグル族、モンゴル族、チベット族、回族など、55の少数民族よりなる多民族国家です。
中国は国土の広い国ですので、自然環境や気候、風俗や習慣、方言など、地域のよってかなり異なります。よく言われているのは、中国を発展度合で4つのレベルに分けられるということです。第1は先進国レベルで、例えば上海や北京などの大都会です。第2は中等発達国レベルで、沿海部の都市などです。第3は発展途中レベルで、中国の中部や西部です。第4は欠発達レベルで、辺遠地域や一部の農村地域です。食糧が不足し学校に入れない子どもいます。
このような現状があるので、「中国の人々の幸福感」は一言では言い表せません。今回は都市部の人々を中心として「幸せ」ということをどう考えているのかについて紹介し、ご理解頂ければと思います。

皆さんご存知のように、1978年より鄧小平が中国共産党を維持しながら、市場経済導入の経済開放政策を取り、経済の開放を強力に推し進めきました。その結果、国民の生活水準は大きく飛躍し、中国の近代化が進み、「世界の工場」と呼ばれるほど経済が急成長しました。中国改革開放の30年間、経済成長が続き、2010年のGDPは5兆8,784億ドルで、世界2位になりました。また、1人あたりの平均は4,382ドルです。
一方、沿岸都市部と内陸農村部では経済格差は大きくなり、急激な経済成長と共に貧富差の拡大や環境破壊が問題となっています。
経済成長に伴い、人々の理念やライフスタイルなども変わりました。特に、自分にとって何が「幸せ」なのか、人生の目標は何かなどがかなり変化しました。

中国政府系の調査チームの報告より、中国人の「幸福観」に 「円満な家庭」 を挙げる人が最も多く、次いで「健康」と「子どもの教育」と続くことが明らかになっています。
この 「幸福観」 は、2011年3月に開かれた中国の国会、全国人民代表大会 で最も高頻繁で使われた言葉であります。 全人代では、公務員の腐敗是正、格差の解消などを通じて、国民が幸せを感じる 「幸福中国」の実現という目標が掲げられました。