2011年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの幸せ」

第10回 陳先生 6月22日 3/4
上海若者の幸福観
5.上海市民の幸福度は?
2009年11月24日、「改革開放30年の上海市民の価値観の変化」というプログラムに行われた調査から、上海市民が自身の生活について感じている幸福度の指数は69.16ポイントであることが分かりました。また、教育水準が高いほど幸福を感じています。これは収入の多さに比例して幸福感が高まることを示しています。
また、上海市民が現在受けている最大の生活圧力は、「物価上昇が速い」(17.9%)、「住宅購入のプレッシャー」(16.6%)、「高い医療費」(14.6%)となっています。これは、決して上海特有のものではなく、中国の都市部、農村部に限らず見られる社会問題を反映しています。
上海に住んでいると食材やレストランでの価格は上昇しています。給与はそんなに上がっていないので物価の上昇は生活を直撃します。上海の住宅価格は09年夏からまた上昇しています。一生かけても払えるかどうかのローンを抱える若い人が増え、「房奴(ローンの奴隷)」と呼ばれています。また、医療費は診察費や薬価が年々高くなり、貧しい人は病院に行けないという問題があります。現在中国政府は8,500億元の予算で医療制度改革を進め、診察費と薬価の値下げを目指しています。

中国の消費者物価指数(CPI)は、2009年は下がっていますが、2009年11月から上昇し続けています。中国国家統計局によると、2011年5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.5%と上昇し、4月の5.3%を上回りました。特に2010年10月から食品価格が2009年比で2けたの上昇を続けています。中国政府は2011年通年でCPI上昇率を対前年の4%前後とし、インフレ抑制を目標に掲げていますが、今年上半期(1~6月)は前年同期比5.4%上昇し、目標達成が困難な状況となっています。

6.幸せを感じられない7つの理由
幸福の要因としているものは、社会の公平、社会治安、人民の権益など多方面に及んでいます。現代的な社会環境による社会の不平等、物価の高騰、生活上のストレス増大などの現状のもと、多くの人々が自分は不幸だと感じています。さらに、人との信頼関係が薄れていることで、ますます幸福感や快楽を感じられなくなっています。社会心理学者らは現代の中国人の幸福感が下がっている原因として以下の7点を挙げています。

● 他人と比べること
自分の役職や家、財産などを他人と比べることに終始しているため、結局は欲望しか残らず、
 幸福を失ってしまいます。
● 理想を見失っていること
20年余りの間、物質的豊かさをひたすら追い求めてきたが、気が付くと、お金を稼ぐほかに、
 生きがいや人生の目標を見失いました。
● よい面に目を向けられないこと
他人の幸せに注目して、自分の不幸ばかりみて、幸せに目を向けようとしないです。
● 他人のために尽くすことを知らないこと
何が得られるのか、これは自分にとって得にならない、などとつねに考えていては、
 生きることに疲れてしまいます。
● 現状に満足できないこと
家を手に入れても、さらに大きな家を求め、お金を稼いでも、さらに多くのお金を欲し、
 現状に満足できなくなります。
● 相互信頼の欠如こと
通信手段は発達したが、人々の心のつながりはだんだん弱くなっています。
● 過度な焦り
住宅購入や子どもの教育、それに昇進に対するプレッシャー、友人や同僚との人間関係などが心理
 的負担となっています。幸福感は、理想実現度と期待度との違いに応じて決まることが必要です。