2011年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの幸せ」

第10回 陳先生 6月22日 4/4
上海若者の幸福観
7.中国国内業種間の賃金格差
中国改革開放30年以来、富裕層が現れたなど、財産分配不均衡の問題が厳しくなってきています。2010年より、多数の省市は最低賃金を再調整したが、人力資源・社会保障部賃金研究所が発表した最新データにより、中国国内の業種別賃金の格差は最大15倍となり、世界最大となりました。
中国国家統計局が2010年に発表したデータにより、証券業界の賃金は全業界平均賃金の6倍になり、賃金が最も高い業種と最も低い業種との間に、11倍の開きがありましたが、2011年にこの格差はさらに厳しくなり、15倍に広がっていました。
収入格差が広がる主要要因として、農民工の賃金は長期的に低く抑えられすぎたことが考えられます。同様な仕事を従事するのに、都市戸籍のスタッフの賃金は農民工の倍以上になるのが現実です。それに関連して、去年から始まった労働者不足やストライキ事件など一連の労務紛争を生じしました。政府も最低賃金の引き上げや集団賃金協議制度の強化など、業種間賃金格差をなくすよう、様々な政策を打ち出しています。企業は経営上どう対応していくかは、今後の法律政策を見極める必要があります。

8.中国の人々が何を求めるか?
2011年各地で開かれた両会(政協会議と人民代表大会)で、政府活動報告や第12次五カ年計画で頻繁に使われている言葉が「人民を幸福にする」であります。
最近、人民網は幸福感を左右する要素について調査を行い、延べ1万1519人のネットユーザーが参加し、幅広い関心を集めました。この調査の結果は以下のとおりです。

● 幸福感を左右する最大要素として「経済状況、生活の質」を選択した回答者が
 34.4%(3957票)です。
 これは収入改善と生活の質の向上が幸福感の基礎であることを示すものです。
● 幸福感を左右する最大要素として「権力の規範、公共サービス」を選択した回答者が
 31.4%(3612票)です。
 政府が自らの権力を規範化し、公共サービスによって先行きの安心感を与え、
 政府の働きは大きいことを表しています 。
● 回答者の27.7%(3194票)が生活上の幸福感と最も密接に関係する要素として
 「社会保障、体面の尊重」を挙げました。
● このほか「社会参与、価値の実現」を選択した回答者も6.6%(756票)いました。
 今日の中国では、社会参与や人生の価値の実現への関心も高まっているし、民主政治が着実に
 推し進められていることが分かりました 。

中国の経済規模は世界2位になり、これは中国の改革開放ですばらしい実績を得たことを示すが、中国が大国になる過程で得た最初の実績にすぎないことに注意しなければならないです。中国の温家宝総理は第11期全国人民代表大会第3回会議の政府活動報告で、「人民がより幸福になり、より尊厳ある生活を送る必要がある」と述べています。国民の幸福指数の向上を中国の経済・社会の調和のとれた発展を構築することが重要であります。