2011年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの幸せ」

第2回 梶原先生 4月20日 5/12
夢みるアジア
この国民総幸福で、例えばワンチュク国王や首相の発言を見ますと、このGNH、国民総幸福には4本の柱がある。これはブータンの国家の政策のかなめにも相当します。1つはブータンは経済的な自立を目指す。さっき言いましたように、収入の3分の1弱は援助であるわけですから、完全に自立しているとは言えないのですが、そこを目指す。2番目は、環境保護を徹底する。ブータンの憲法によると、国土の60%以上の森林を保持することが憲法上定まっている。それ以下に森林が減るということは、憲法違反であるとされています。3番目に、文化の推進。ブータンの伝統文化は、非常にもろいものである。つまり、外国から新しいポップカルチャーとかそういう文化が入ってきた場合に、メディアの影響とか、つまりテレビとか映画、ビデオクリップとかいろんな影響があって、ひとたまりもない。ですから、外からの文化を入れないわけではないけれども、伝統文化については徹底的に保護するということを言っているのです。こんにちでも、普通に町を歩いていたりする人の恰好はいろいろですが、例えば公務員の制服は伝統的なゴ、女性だとキラを着用する。たまたまブータンの国際会議に出ていましたら、首相も文部大臣も、皆さん伝統的なゴを着ていらっしゃいました。4番目に、ガバナンスですね。よき統治を目指す。こういう4本柱があって、これと幸福の追求が重なっている。その幸福度を測るわけです。幸福度を測って、まだ十分国民が幸福だと思っていないところに政策的な資源を集中するということをやっているわけです。
測るときには、必ず指標が要るわけです。それは、9つの指標で見ている。まず1番目は、精神面の幸福。ブータンの人々が精神的に落ち着いて、幸せだと感じる指標を1つ立てるわけです。これについて、補足的ないろんな質問をして、インタビューをして、どのぐらい満足しているか、あるいはどのぐらい幸福かということを見ていこうと。2番目の指標は、健康です。人々の健康。これも同じく付随的な質問をして、あるいは健康ですからある種の身体的なデータも取り得るところですけれども、それで確認していく。3番目が教育。教育がどのぐらいきちっと行われているか。70年代後半と80年代を比較したデータがありましたけれども、小学校に行っている児童は7倍に増えています。学校に通う人は、1万数千人だったのが10万人ぐらいになっています。識字率の問題も、ここに入っているのかもしれません。
4番目の指標が、文化の対応性。これは、対応性プラス伝統文化がどのぐらい維持されているか、あるいは伝統文化をあなたは本当に楽しんだり理解したり、実践したりしているか、という質問によって確認されます。ご存じのように、ブータンではスポーツとして弓が盛んに行われます。確かオリンピックに、アーチェリーで1人ぐらい出場したことがあるのではないかと思います。本当に弓をみんなやっているのかというと、この調査によるとそれほどはやっていないということが分かったらしい。そういうことも聞いていく。これが、面白いのです。私が一番感激したのは、時間の使い方とバランスという指標です。1日のうちどういう行動、朝起きてから寝るまでに、もちろん仕事をしたり、近くの人とおしゃべりをしたり、あるいは、日によってはお寺にお参りに行ったり、若い人だったら、ディスコもありますからディスコに行ったり、学校に行ったり、いろんなことがあると思いますが、これを非常に精密に指標として取り上げて中身を調べていく。