2011年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの幸せ」

第3回 宮脇先生 4月27日 5/7
チベット人の幸せ 仏教徒としての人生
チベットの写真を少しお見せしましょう。
いきなりですがチベット犬です。うしろに見えているのがラサのポタラ宮です。この犬、ものすごく大きいけれど、おとなしいんです。アメリカに亡命したダライ・ラマの長兄のお家に行ったことがあります。インディアナ大学の近くにTibetan Centerを作って、チベットのために生涯を捧げられましたが、この犬を飼って、すごくかわいがっていました。


これは中庭で芝居をしているところですが、かつては宗教劇をすることが多かったわけです。ところが中国の社会主義はとにかくチベット仏教を嫌がる。それで、世俗の劇しかさせないようになって、結婚の様子を演じているところです。典型的なチベットの服装ですが、見た目でチベットを表すことは中国人は熱心にやっています。襟にかけている白い絹は、チベット語で「カタ」と呼ぶスカーフです。神聖なもので、人に贈り物をするときにはカタに乗せて差し出しますし、ダライ・ラマ猊下に敬意を表すときにも差し上げます。ダライ・ラマさんがカタを下さることもある。

チベット人には、南の川沿いで農業をしているチベット人と、青海省などの高い山でヤクを飼ってくらしているチベット人と、昔から農民と遊牧民の二種類がいます。
漢族と顔が違うのがわかりますでしょ?もともと人種が違う。

中国では、チベットは古来中国の領土の一部だと宣伝するために、"China's Tibet"という写真集も出しています。表紙の男性が担いでいるのは、羊の皮をうすく伸ばして張った舟です。これで河を渡ります。
チベットのお経の表紙です。文字は漢字とまったく違っていて、7世紀にインドの仏教をチベット語に翻訳するために、サンスクリット文字を真似て作りました。大蔵経をすべてチベット語訳したんです。だから、チベット語を勉強すると、漢字に翻訳されずにインドで消滅してしまったお経も読めるし、漢訳ではわからない箇所も意味がわかる。日本のお坊さんはそのためにチベット語を勉強しています。欧米の人も、仏教を勉強したいからチベット語を勉強しています。チベットは中国だから、チベット語を使うなと、いくら中国人が言っても消滅させられない。内容があるからです。
チベットには、ありとあらゆる仏教が入ったので、顕教と密教と両方の経典があります。密教系のタントラ仏教のほうが有名です。男女合体仏などの仏像が残っています。それで悪口を言う人がいますが、これは在家を仏教徒にするときの方便でもあります。とにかく、インドで誕生した仏教が最末期のものまで、すべてチベットに伝わったということです。