2012年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジア女性群像」

第5回 松岡先生 6月16日 4/6
プーラン・デーヴィーの生涯
〜"盗賊の女王"の生き方からインドを見る〜
インドでは、ヒンドゥー教徒が結婚する場合は、花嫁が持参金や持参財産を持って行くことが要求されます。ヒンドゥー教では、父親の務めは娘を全員ちゃんと結婚させること、さもないと父親は死んでも天国に行けない、と言われています。ですので、娘を複数持った父親は本当に大変です。また、こういった結婚の形式のほか、花嫁を労働力として買うという習慣もありました。
インドの花嫁は処女性が重視されるため、昔は初潮が来る前の女の子との結婚も普通に行われていました。結婚後初潮が来るまでは実家に置いておいて、一人前の女性になったら夫の元へ行く。あるいは、結婚後ずっと家事労働をさせていて、初潮が来ると実際の性的な関係を結ぶなど、いろんなケースがありました。プーランの場合も、プッティラールという別の村の男と父親が約束を交わし、プーランが嫁に行く代わりに父親は自転車と牛と現金をもらっています。「娘が大人になったら(=初潮をみたら)連れて行っていい」ということにしてあったのですが、プッティラールは早く家の労働力がほしくて、プーランが大人になるのを待たずに連れに来てしまいます。このシーンが次の映像で見られます。以下、説明したシーンの映像が見られるようにしておきます。映像はいずれもYouTubeからで、英語字幕が付いています。

映画『女盗賊プーラン』Part 1

プーランは11歳、日本で言うと小学校5年生ぐらいで夫の家に連れて行かれて、義母の世話とか、様々な家事労働をさせられます。労働がきついために病気になって両親が迎えに来てくれて実家に戻ったり、プーランが勝手に逃げ帰ったりもしているんですが、ただ、昔の日本もそうでしたけれども、一度結婚してしまうと親元には絶対に帰れない。婚家こそが嫁の家、という考えはインドでも非常に強いんですね。プーランは、婚家でいろんなつらいことを経験し、最終的には婚家から出されてしまいます。
実家に帰ってからも、伯父の息子に「プーランが盗みをした」と訴えられたため、警察に捕まったりします。結局釈放されるんですが、次は村会議長の息子がプーランに目を付けて、関係を持とうとつけ狙います。プーランが拒否し、言うことを聞かなかったことから、復讐が企てられていくことになります。
その復讐とは、依頼主が従兄か村会議長の息子かはわからないんですが、チャンバル渓谷にいる盗賊団の首領グッジャルに、「うちの村の生意気なプーランという女を誘拐してくれ」という依頼が入るのです。そしてある夜、グッジャルが村にやって来ます。グッジャルは盗賊ですが、自分はクシャトリヤ(王侯・武士階級)のタークル・カーストであると言って、他のカーストを見下しています。カースト差別というのは町や村に暮らしている普通の人々の中にあるだけではなくて、盗賊団の中にもあるんですね。

映画『女盗賊プーラン』Part 4