2012年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジア女性群像」

第4回 宮脇先生 5月9日 3/7
中国恐妻の歴史と儒教
中国人女性で日本の男性と結婚したい人もたくさんいます。日本の40代50代の男性に、20代のかわいい中国人女性が寄ってくる。だけど、中国の中でも同じで、北京の人が雲南省からお嫁さんを買ってくる。つまり女の人の結婚にお金が介在している。もちろん日本だってお金は大事ですけれども、中国は言葉そのままのお金が介在する。家族がお金をもらって、北京に嫁に行ってみたら、北京というのは、市街地はきれいですが周りはすごい田舎で、何にもない貧乏な農村だったから、泣いて暮らしてた。それからさびしいからって、故郷の友達を騙して連れてきた。その友達もまた別の人を連れてきて、それで同じ村出身の嫁がだんだん増えて、もうこっちでいいか、と。雲南の民族村みたいに交友関係ができちゃった、という事例もあるそうです。
福島さん、北京で知り合ったホステスから「日本人を紹介しろ」と言われる事も多いけれど、しないんですって。共犯者になりたくないから。それに「誰でもいいのか、好みとか、身長とか、性格とか、そういうのはどうなの」と聞いたら、「誰でもいい」っていう答えだったそうです。日本人だったらどんな人でもいい。今の立場から少しでも上昇するために結婚するんです。3年間日本人の妻をやったら、日本の永住権を取れますからね。だから3年我慢して、素敵な人だったらそのまま一緒にいてもいいけど、そうでなかったら、また次の新しい人生がある、って考えるんですよ。
中国は生きていくのに本当に厳しい社会です。統計を取ると、男性の方がずっと多いんです。農村は男の子がほしいので、女の子は間引くんです。今は一人っ子政策がゆるんできて、生まれた子が女の子だったらもう一人男の子を産んでもいい、となっていますが、それでも女の子ばかり何人もとなってしまうと、届け出なくなる。そうすると、戸籍のない子ができる。なぜそんなに男の子を生まなくてはならないか、というと、これが儒教なんです。女の子のお供えは先祖の口に入らないという思想です。それで先祖がお腹を空かせると、今度は子孫が死に絶える。
気というのは常に高いところから低いところに流れています。つまり祖先から子孫に流れてくるので、祖先に近い人ほど偉いということになる。これを「長幼の序」といいます。だから、一日でも早く生まれたほうが祖先に近くて偉い。お祖父さんが若い奥さんを貰って子供ができると、叔父さんが年下になりますよね。でも年下の叔父の方が自分より位が上です。なぜなら「輩行(はいこう)」という、祖先からの年代順が一段階上だから。
日本人って、昔中国の文明を入れたとされているけれど、すごく取捨選択していますよ。面倒なこととか、ピンとこなかったことは入れてない。中国は日本に、仏教を教えたとか漢字を教えたというけれど、現代中国語は7割方日本語ですからね。明治時代に欧米語から翻訳するとき、それまでなかった概念を現すために、日本人が新しい漢字の組み合わせをたくさん開発しました。現代中国語はそれをそのまま使っています。「中華人民共和国」という国の名前の、人民も共和国も日本語です。日本の明治維新をみならって近代化を始めた中国に、日本の教科書や日本製の漢字の本が流れ込んだんです。