2012年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジア女性群像」

第4回 宮脇先生 5月9日 4/7
中国恐妻の歴史と儒教
儒教というのは、「かくあるべし」という思想です。本当はどうだったかでなく、こうあるべきの方が大事なんです。日本は、大陸からいろいろなものを受け入れたけれど、それらを自由に組み直し、纏足(てんそく)や宦官(かんがん)は入れませんでした。「藍(あい)より出でて藍より青し」だと思います。日本は儒教文明ではないんですよ。女の地位も中国と違って低くない。日本では養子を取るとき、母方の親戚でもいいでしょう。父方も母方も同等に考えている。これを双系制といいます。それから、家や会社を継ぐとき夫婦養子もするでしょう。血統がつながっていなくても、家や会社を大事にしてくれる立派な人だったらいいわけですよ。これは、韓国や中国ではあり得ません。父系の血がないのに何の意味がある。そこが全然違っていて、だから女は男を生まなくてはいけない。婚家先で男の子を産まなかったら場所がないんです。その場合は、自分が別の女を夫に紹介し、その女が男の子を産んだら、その子を自分の養子にする。いろんな手を使って自分の場所を探します。だから、何かがあったときに強請れるように夫の弱みをしっかり蓄えておくんです。それから、今でも共産党の高級幹部は、結婚のネットワークで安全をはかってるわけね。日本で言うなら、戦国時代の城主同士の結婚関係のような考え方が、中国では下層の人達にまである。そういう社会だということを、私たちは中国を考えるときにちゃんと認識しなければならない。
女性群像ですが、中国女性とは誰を指すのかというのはなかなか難しいです。高級官僚と農村の女じゃぜんぜん違いますからね。中国の女には、企業家も医者も外国で活躍している人もいる。だから「中国は女にとって活躍しやすい場所だ」とかアメリカの雑誌は書くわけです。でもそんなこと本当に言えるのか。だって中国の金持ちは1%だけですよ。
写真(12)
地図⑫じゃあ中国って何、といったときに、今の中国は清朝の領土すべてが中国だと言っていますが、もともと清朝時代には、モンゴルもチベットも新疆も、漢人の土地ではなかった。文字も宗教も法律も違い、現地の人たちの自治が許された地域だったんです。ところが今、ここは中華人民共和国でお前たちは中国人なんだから漢字を使え、仏教もやめろ、チベット語の授業もやめさせる、というので、抗議の焼身自殺が続いているんです。