2012年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジア女性群像」

第11回 土佐先生 6月27日 9/9
韓国、淑女の系譜
もう1人、キム・テヒという俳優はご存知でしょうか。日本ではまだそれほどでもありませんが、韓国では非常に有名な女優です。日本でも放映されたドラマに『天国の階段』や『アイリス』があり、前者では悪女役,後者ではヒロイン役を演じました。最近では日本のドラマにも出演したりして、日韓両国で活躍中の人です。
彼女は、才色兼備として知られ、ソウル大学を卒業している数少ない女優として有名です。私は主観的にもうひとつピンとこないんですけども、韓国では美女中の美女だそうです。そこらへんの感覚も、日本と韓国は非常に近いですけど、微妙に違うところもあります。美女というだけではなくて、頭もいいということで理想の女性像たり得るわけです。
理想の女性像としてのいまひとつの条件は、キム・ヨナにも共通してることですけど、美貌と能力だけではなくて、非常に真面目に努力するというイメージです。メディアから信望されるためには、同時に家庭的なイメージももっていないといけない。彼女にもそうした勤勉で家庭的な面が強調されています。
もうひとつ大事なことは、彼女は日本語もしゃべれますし、日本のドラマに出たりして国際的に活躍しているのに、それだけだと韓国ではトップに行けないということです。国境を越えた才能を持つことがスターになる条件ですが、同時に外国に染まりきっちゃうとダメで、韓国に帰った時にはそっち向けの発言もしないといけない。たとえば、わざわざこういう発言をする俳優も少ないですが、竹島、韓国で独島(トクト)と呼ばれる小島の領土問題がありますが、彼女はそういう問題にわりと積極的に発言することが知られています。「独島は韓国の領土だ」と。何のためにわざわざそんなきわどい発言をするかというと、「自分は日本に飼いならされているわけじゃない」というメッセージなんです。日本にいるときはそんなことは言いませんが、韓国ではそういう発言をわりとよくする。国家への献身が強調され、本人は本当にそう思っているかどうか分かりませんが、韓国のメディアに対しては日本びいきの発言をしない。「私は韓国人だ」、「韓国は偉い」ということを言い続ける。
ここらへんは先ほどのパク・クネにも共通する傾向です。父親は日本の陸軍士官学校を出て、日本の軍人精神を体現したような人物でしたが、それだけになおさら反日的なポーズをとる必要がありました。パク・クネもそういう両価的な姿勢を受けついでいて、政治的に反日的なポーズをとらざるを得ないところがあります。韓国で、女性が有名人や指導者の立場に立つにしたがい、なおさらそういう側面が強調されざるを得ないともいえます。
とりとめのない話になりましたけども、今日の理想的な女性像に引き続き、来週はその裏面について話をさせていただければと思います。