2013年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの紛争と文化力」

第7回 松岡先生 5月29日 6/6
インド:宗教と紛争
あとは、イスラーム文化に対する敬意は、根強く残っています。北インドの世界遺産は、イスラーム教徒の手になるものが多いんですね。タージ・マハルもそうですし、アグラにある建造物は、ほとんどがイスラーム王朝時代に建てられた物です。それから北インドの音楽や舞踊は、イスラーム王朝下で発達した芸術です。またインド料理、お肉のカレーとかナーンとかも、イスラーム教と一緒に伝わってきたものです。また、パキスタンの言語であるウルドゥ語は、アラビア・ペルシャ系の語彙がたくさん入っていて、日本でいうところの漢語に対する感覚に似ているのですが、ウルドゥ語の詩を聞くとインドの人たちは、ちょうど日本人が漢詩を好むように、すばらしい、美しい、と感じます。
イスラーム教の豊かな文化が、今のインドを支えているのだとも言えますね。映画では、インドはイスラーム文化からたくさんの恩恵を受けている、ということも描かれたりします。宗教に対する融和政策が表だって描かれることはありませんが、映画には常に、意識として宗教融和が盛り込まれている、と言っていいでしょう。
参考文献にあげた『ヒンドゥー・ナショナリズム』という中島岳志さんの本ですが、インドの現状を非常によく伝えていますので、よろしければ読んでみてください。