2014年度 世田谷市民大学 連続講義


「生まれるアジア、老いるアジア」

第3回 青柳先生 9月29日 4/6
「命どう宝」の今昔―琉球生命観とその変貌
更にお盆の場合、家族の儀を通して先祖が無事に送り出されたウークイの翌日には集落のメンバーが一同に会し、ハリムラヌサカイ(晴れた村の栄)を祝います。ここで広く催されるのが、皆様もよくご存知のあの念仏踊りに由来するエイサーです。若い衆が武勇の衣装に身を包み、声高らかに踊りながらミチジュネー(道の練り歩き)を行い、集落にカリー(嘉利=活気)をつけるという「生のセレブレーション」がここに展開するわけですね。
このお盆と先のシーミの間に入るアブシバレー(悪霊払い)というのは、旧暦の4月吉日に行われてきた行事で、元々は農作物が育つこの頃に害虫を駆除する目的でノロたちを中心に行われた祈祷の儀でした。呪術の力で害虫を捕獲し、供物と共に村落の外に追い出すというもので、海辺の集落では害虫の精を乗せた舟型の台を沖に流すという体裁が取られたそうです。私が視察した集落では特に儀式らしいことは行われておりませんでしたが、この時期に家の大掃除をして心身を清める家庭はいくつか確認できました。また、海浜の集落ではこの時期に班対抗で爬竜船を漕ぎ合うハーリー(爬竜)大会を催しています。
次に長寿祝いのひとつであるトーカチユーエー(斗掻祝い)について少しお話しておきましょうね:数え歳88のメンバーを持つ家族が旧暦の8月8日に実施する慣礼で、米を盛った籠や盥に大概は竹製の斗掻を飾り立て、その周りに祝いを示すアカムーチー(赤餅)などの食を備えて行われます。正装した主役となるおじぃまたはおばぁの許に親族や近所の親しい人々が集まって歳の順に礼拝し、主役から「歳の功」を授かる儀式で、これが終わると米を詰めた斗掻が来訪したみんなに配られます。米は生命の糧であり、また豊作の象徴でもあり、これを「頑丈」を表象した竹筒に詰めて長寿を迎えた主役から授かることで、命の力(活力)をお裾分けいただくという道理が、この米寿祝いには示されていると私は捉えています。