2014年度 世田谷市民大学 連続講義


「アジアの紛争と文化力」

第4回 青柳先生 12月22日 10/10
死者は海の彼方へ―ニライカナイの時空

ニライカナイの象徴効果〜まとめに代えて

さて、時間があまりにも短い反面お話ししたいことは実に山程あるため、充分な説明がし得たとは到底思えませんが、本日のレクチャーを通して会場の皆様が少しでも沖縄文化の生成流転に関してこれまでにない次元で考察する機会を提供することができましたなら、それはとても幸いなことです。前回紹介した「命どぅ宝」の理念にせよ、今回ご紹介した「ニライカナイ」にせよ、これらのアイデアや世界観が琉球に暮らす人々の生活世界を秩序建て、文化の継承と再生を促し、自分たちの生き方に関わる各種の解釈や行動を産み出す原動力になっている様子が私のフィールドワークに根差した一連の事例を通しておわかりいただけましたでしょうか。
琉球にはこれらの他にも紹介し切れないほど多くのキーコンセプトが存在することはいうまでもありませんが、その一方で琉球外の心ある方々に現地で大切にされている理念がより深くシェアされるという機会もそうそうある訳ではありません。サーリンズ先生よろしく、相互に異なる文化の接点=コンタクトゾーンに着目することは、そこで問題視される異質な論理を地元の論理と相互に比較しながら紐解き、それらを合理化していくための重要な手段であると私は考えております。その点で、同じ「日本」という政治経済圏に置かれていながら文化社会的にはここまで異質であり続ける琉球を「日本人(本土人)」として理解することもまた、現地の人々と対話したりサポートし合ったりしながら共に「生死」に関わる重要な問題に真摯に向き合っていく上でとても大切なことと確信しております。そうした意味でも、今回の二度に渡るレクチャーが何等かの参照になり得ましたこと(あるいは今後なり得ますこと)を願って止みません。