2014年度 世田谷市民大学 連続講義


「生まれるアジア、老いるアジア」

第9回 藤田先生 11月24日 3/4
一人っ子政策について
個人経営および農民。さっき農村のことと同じですね。しかし4番のほうに社会養育費徴収政策というのがあるのです。これは、要は、この法令を守らない場合の罰則です。子供が1人じゃなくて2人出来た。どうしても欲しいから産んだ。黙って産んだ。こういう場合は罰金が課せられます。罰金を払わないといけないのです。北京の例を挙げますと、2人目許可なしで産んだ時に、この罰金は平均年収の3倍から10倍の罰金です。これを払えば、しかも反省文を書いて、やっと公安に行って、戸籍を登録することが出来る。2人目はこの状態で、3人、4人大変ですね。この罰則を見ますと、3人目もそうなのです、罰金を払わなければなりません。そして結婚しないで子供を産む。これ日本で言うと、シングルマザーのことですね。これも罰金の対象。
このようなことでやりますと、この隣の漫画のほうですが、この一つ上のほうは、赤ちゃんの性別識別テストを違法にしてはいけないという漫画です。
次に政策実施以来、成長した子供達ですね。一人っ子子女の場合で見ていきますと、一人っ子ですから、「お姉ちゃん」「お兄ちゃん」なんていう言葉は無いわけね。ほぼ死語になってしまいます。昔は子供いっぱいいたから、親の代わりにいちばん上の子が面倒を見るというのはけっこうあったのです。おんぶして親の手伝いもします。親を支えて、自分の弟とか妹をかばって、このような絆が昔にはあったのです。しかし今は一人っ子にはそれがいないのです。守る人はいません。自分だけが完全に大人に守られているということなのです。そうすると、子供同士の関係、感情的な面、責任感の面で問題を孕んできます。小学校に入って、中学に入って、それで上下関係が生じてきますと、どう対応したらよいか戸惑ってしまします。
それからわがまま、集団意識があまりない、お互いに競争意識もあまりない、責任感が薄い。これらの問題はいま出てきています。
お父さん、お母さん、その上におじいちゃん、おばあちゃん。おじいちゃん、おばあちゃんは4人ですからね、両方の。それとお父さん、お母さん、全部で大人は6人。6人に対一人です。
非一人っ子の場合、これどうなりますかと言うと、さっき申し上げたように、罰金を払わないといけない。それは社会扶養費という名目を取っています。
しかし、裕福でない家庭はとても払えません。3倍から10倍のお金は払えません。どうするかというと、子供のいない親戚、辺鄙なところにいる親戚の家の戸籍に入れます。養女という、里子に出すわけですね。あるいは田舎に出します。
戸籍問題、今も申し上げたように、罰金として、この扶養費を払った後、批准書、OKの証明書を出して、それでやっと戸籍登録ができるようになります。社会問題ですね。政策の欠陥としては、科学的論証というか、確実な推論とか討論、こういうのが、ほぼ共産党の会議で決定してしまうので、日本のように第三者の有識者会議とか、そういうのは設けないわけですから、そういう検討が乏しい。その結果、子供が減るというのは、老人社会を支える力が減るということですよね。今は、生活は少し裕福になりましたので、老人の寿命はどんどん伸びているのです。これは来週の話でしますけれども。非常に日本とほぼ同じくらい、90位の老人もけっこういます。そういう状態ですと、やがて高齢者社会を支えなければならない、高齢者社会の問題が出てくる。これもどうやら時間の問題。
それからこの性別の比差が大きく開いてしまったということ、大きくしたということです。男と女の子の違いが、ほぼ同じでなければならないわけです。健全な人口バランスとして。それが、男子のほうが多くなることですね。隣の漫画も、さっき家を支えるのと似たような趣旨ですね。下に支えているのはお父さん、お母さん。上に4人は全部おじいちゃん、おばあちゃん。それで最高のところにいるのが孫、一人っ子です。これがいちばん偉いと。偉いというのはどういうことで表現するかというと、小皇帝と中国語で言うのです。このおじいちゃん、おばあちゃんが真ん中に抱っこしているこの子供は家の小皇帝です。実際、一人っ子はこういう状態ですね。非常に大事に、大事に育てられるということです。
そうしますと、社会問題としては、いろいろとリスクが伴ってまいります。一つは、その一人っ子で成長する過程で、万が一夭折した時。これはまだ親が若ければまだしも。産めない年齢になった場合はどうしますか。こういう家庭は今たくさんあります。これは失独家庭と言うのです。一人っ子を失った家庭のことです。
もう一つ、二番目ですね。子供自身の困惑です。過保護。過保護に対する困惑と重圧。
それから、老人扶養のリスク。これは、社会全体の問題として考えた時に、子供が少なくなると、後々この子供たちが成人して親が年とった場合、1対2なわけです。一人っ子に対して2人の老人になるわけ。で、この一人っ子同士が結婚したら、4人の親を持つわけです。4人の上に、まだ4人の祖父母がいるとなると、大変な比率になります。そうすると扶養する力が問題になってきます。いま日本では、もうすでにこういう問題に直面しておりますね。
社会発展上のリスク。これも責任感など、あるいはその仲間意識が薄いところから、いろいろな問題が出てきます。