2014年度 世田谷市民大学 連続講義


「生まれるアジア、老いるアジア」

第6回 関谷先生 10月27日 3/5
30年以上トップでい続けるアジアの歌手たち
李香蘭のこの曲を林憶蓮(サンディ・ラム)という女性シンガーがカバーしていますので聞いてみましょう。

(視聴)

かなり大胆なアレンジをしています。彼女は香港の人ですが、上海系です。彼女がシンガポールのディック・リーという、一時宮本亜門さんと一緒にミュージカル作ったりと日本でも活躍したアーティストがいるんですが、そのディックがプロデュースをして新しいモダンエイジア、モダンチャイニーズというコンセプトでアルバムを作りました。大変良いアルバムです。今まで女性の声を多く聞いてきましたが、周璇(チョウシュアン)、王菲(フェイ・ウォン)、テレサ、もそうですが、サンディも高くて細いけれど芯の強い。こういう女性アーティストは中華圏では大変に人気が出ます。
今度は1曲、テレサ・テンの曲を聞いていただきましょう。

(視聴)

テレサ・テンの「長寿を願って」という曲。中国語だと「但願人長久(ダンユエンレンチャンヂォウ)」。この曲は『淡淡幽情(タンタンヨウチン)』というアルバムに入っています。このアルバムは宋などの時代の詩に今の時代の作曲家がメロディを付けて出されました。テレサの最高傑作はこれだという人が多くいます。83年の作品。
これを歌ったのがさっきの中島みゆきの「ルージュ」をカバーした王菲(フェイ・ウォン)。フェイはテレサがアイドルで、テレサのカバーアルバムを作ったんです。そのカバーアルバムを制作しているときに、テレサが亡くなり、奇しくもこれは追悼アルバムになってしまいました。今の曲をフェイ・ウォンがカバーしていますので、聞いてください。歌詞は、「澄んだ月よ、お前はいつのころから輝くのかと。さかずきを持って天に問う。天上の宮殿では今はいつの年に当たるのだろうか。風に乗り、そこに行ってみたいものだ」。

(視聴)

王菲(フェイ・ウォン)の、「長寿を願って」のテレサのカバーでした。中華圏で人気が出る、中華圏の人が愛する女性シンガーの声が分かっていらしたかもしれませんが、その声ですね。フェイがデビューしたのが92年、まだ香港の人にとって返還というのがそんなに身近ではない時期でした。彼女は北京の出身なので、最初は北京から来た女性といったキャッチフレーズでデビューしましたが、ぱっとしない。それで彼女はその後のカナダに留学したのですが、レコード会社との契約が残っていたのでレコーディングした。そのレコードに入ったのがさっき聞いていただいた曲で、すごくヒットしたんです。
香港の歌手というのはお客様は神様ですというスタンスが多いのですが、フェイは言いたいことをはっきり言ったり、非常にとんがった服を着たりとかして、香港人にとっても新しい存在になったんですね。そして本当にいい声もしていますね。
今度は「龍的傳人(龍の子孫)」という曲をご紹介したいと思います。李建復(リー・ジェンフー)という人が歌ったのですが、作ったのは、候徳建(ホウ・ダージエン)。この人は1978年、台湾のフォークミュージックの時代に妻子を残して中国に亡命するんですね。中国から台湾とか香港に亡命する人はいたのですが、台湾から中国に亡命する人はいなくて、中国では何やらまつり上げられたりもしたのですが、天安門事件で自らも参加しこの曲が歌われたということで、今度は台湾に強制送還されました。
では、「龍の子孫」を。

(視聴)

悲しい感じのメロディだと思います。歌詞は、「遥かな東方には揚子江が流れ、遥かな東方には黄河が流れていた。夢で長江のほとりに遊び、夢で黄河のとどろきを聞く。古代の東方にいた龍はその名を中国と呼ばれ、古代の東方にいた人々はみな龍の子孫だった」。
この曲は政治的な意味はなく、台湾の人はこの時代中国に行けませんでしたから、元々中国から来ている人たちは僕たちの故郷ってどんなところだろうと、故郷を思う気持ちで作った曲ではあるんです。