2014年度 世田谷市民大学 連続講義


「生まれるアジア、老いるアジア」

第11回 土佐先生 12月08日 7/7
韓国は敬老社会か?
少し話が飛びますが、チョ・ヨンナムというのは、この4人組の中で、黒い眼鏡をかけていた人で、韓国では非常に有名な音楽家です。音楽家だけではなく、テレビや映画界で活躍している人というのは、アメリカの影響とともに日本の影響も多く受けており、そのどっちの意味においても、実は非常に日本と近いのです。韓流のおかげで、韓国にも意外に共感できる文化的コンテンツがたくさんあるということに、たくさんの人が気づくようになりました。しかし一方で、いわゆるヘイトスピーチをやったりする人とか、相手を実際以上に遠ざけようとする人もいるわけです。
韓国には歴史的経緯から、さらにそういう人が多くいる面もあります。実際には日本と韓国というのは、ものすごく近く共有できる部分がたくさんある関係なのですが、そうことを認めないという傾向が、圧倒的に強いのです。
韓国で「自分は親日だ」というのはものすごく勇気がいることですが、この人は敢えてそのようなことを公言する『殴り殺される覚悟で書いた親日宣言』という本を出し、それですごい話題になりました。というか騒動にまで発展し、最後は自分の発言を撤回してしまいました。韓国のいわゆる「反日」には政治的ポーズの側面もあり、実は日本が好きな人がけっこういるのですけれども、そういうことを公の場所でいうと、やはり今でもかなり抵抗があって、この人のクラスでもそうだということが再確認されたわけです。何年かテレビの仕事を干されていた時期もあって、親日派を広言するのをやめて最近復活できたという経緯もあります。そういう変な力学というのは今でも残っていて、お互い同じ近代化の方向を目指した近い関係なんですけれども、それをお互い遠ざけようとする力が今でも働いているわけです。
そういう力学を取り外して考えると、日本と韓国はとても近いということがいえます。ある時代を同じように生きた人、特に日本でいうベビーブーム世代と、向こうのそれに相当する60年代生まれぐらいの人というのは非常に近く、似たような感性を共有しています。本人たちも意識してないうちに、似たような音楽を聴いたり、似たような映画を見たりして育ってきたのです。そういうことを素直に認め合うに至るまでには、もう少し時間がかかるかもしれません。