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2011年度 世田谷市民大学 連続講義
| 第9回 松岡先生 6月15日 | 1/4 |
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インド映画はいつもハッピーエンド~映画が運ぶ「幸せ」感
<レジュメ>
1.インド映画の特徴
(1)様式の特徴←伝統演劇の踏襲
①歌と踊りが入る「ミュージカル」である
②あらゆる娯楽要素が入る
”ナヴァ・ラサ(nava rasa)”9つの情感
色気:ラブロマンス 笑い:コメディ 哀れ:お涙頂戴
勇猛さ:アクション 恐怖:スリル 驚き:サスペンス
憎悪:敵役の存在 怒り:復讐 平安:ハッピーエンド
③上映時間が長い〜ほとんどの作品が2時間40分前後で、途中に休憩が入る
(2)産業形態の特徴
①年間製作本数が世界一〜2010年は1316本
[参考]公開本数アメリカ588本(2009)、日本408本(2010)
②多言語製作である〜ヒンディー語、タミル語、テルグ語など20数言語で製作
③複数の映画製作中心地を持つ
ムンバイー(旧ボンベイ)〜ヒンディー語映画、マラーティー語映画など
→インドのハリウッドなのでボリウッド(Bollywood)と呼ばれる
チェンナイ(旧マドラス)〜タミル語映画。コリウッド(Kollywood)とも
ハイダラーバード〜テルグ語映画
ティルヴァナンタプラム(旧トリヴァンドラム)〜マラヤーラム語映画
ベンガルール(旧バンガロール)〜カンナダ語映画
コルカタ(旧カルカッタ)〜ベンガル語映画、オリヤー語映画など
④テレビ業界、音楽業界、出版業界等を包括する強大なメディアである
・テレビ業界〜国営放送と100を超す衛星放送の娯楽系chにコンテンツ提供
・音楽業界〜専門の吹き替え歌手が歌う映画音楽が歌謡曲、ヒット曲となる
・出版業界〜映画雑誌(約100種)、映画関連本(スター本、研究書)など
⑤国内市場における自国映画占有率が高い
⑥海外に数多く輸出されている
主な海外市場〜東南アジア(マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア)、イギリス、
アラブ・アフリカ諸国、中国、旧ソ連・東欧圏諸国、アメリカ、ドイツ、
フランス等
2.人々の心をつかむインド映画
①大衆のための娯楽
・ハレの場〜着飾って家族または友人と出かける
・心から映画を楽しむ〜ライブ感覚で鑑賞
・映画に夢を託す〜代替行為による願望の充足
(例)自由恋愛、冨の獲得、悪の敗北、権力への抵抗など
・映画によるアイデンティティの確認〜家族<コミュニティ<地域<国家
②国民統合のための装置
・国の公用語ヒンディー語の普及
・大衆の学校〜言語、歴史、地理、道徳、思想等を楽しみながら学ぶ
・国家の政策の浸透〜愛国心の育成、カーストや宗教が異なる集団間の融和
3.映画の例
『ムトゥ 踊るマハラジャ』Muthu(タミル語/1995年)
<『ムトゥ 踊るマハラジャ』日本版DVD>
監督:K.S.ラヴィクマール/主演:ラジニカーント、ミーナ
物語:お屋敷の若主人に仕える御者のムトゥ。若主人は旅回り一座の女優ランガに惚れるが、
ランガはムトゥと恋人同士。若主人の従妹パドミニは若主人を慕っていたが、その父親
はお屋敷の乗っ取りを狙う....。最後に、ムトゥは昔お屋敷に住んでいたマハラジャの
息子とわかり、ムトゥとランガ、若主人とパドミニも結ばれてめでたし、めでたしに。
『ミモラ -心のままに-』Hum Dil De Chuke Sanam(ヒンディー語/1999年)
<『ミモラ -心のままに-』日本版DVD>
監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー/主演:アイシュワリヤー・ラーイ、サルマーン・カーン、アジャイ・デーウガン
物語:西インドのある地方に住む高名な音楽家のもとに、イタリアからハーフの青年サミルがイ
ンド古典音楽を学びにやってくる。音楽家の娘ナンディニは最初何かとサミルを邪険に扱
っていたが、やがてサミルの明るい性格に引かれていく。ナンディニの従姉妹の結婚式で、
2人は恋心を確認し合う。一方、若い弁護士のヴァンラージは結婚式の余興でナンディニ
を見初め、双方の両親も2人の星回りが合うとあって結婚話に乗り気になった。そんな時、
ナンディニの従姉妹が婚家から逃げ帰り、前から好きだった男と駆け落ちしてしまう。そ
の騒ぎの中でナンディニとサミルの恋愛も明るみに出、父はサミルに即刻出て行くように
命じた。去ったサミルを想い、自殺を図るナンディニ。一命を取り留めたナンディニは、
サミルから連絡がないのに失望し、父の言う通りヴァンラージと結婚式を挙げた。結婚は
したものの、一向に心を開かないナンディニに苛立つヴァンラージ。だが、やがてナンデ
ィニのサミルへの恋心を知ったヴァンラージは、彼女を連れてイタリアに行くと言い出す。
サミルを探し出し、彼女と会わせようというのだ。イタリアに着いた2人は様々な事件に
遭遇するが、ヴァンラージはとうとうサミルを探し当て、彼のコンサートの日ナンディニ
を劇場まで送っていく...。
4.経済発展による変化
①シネコン出現による映画鑑賞シーンの変化→映画と観客の二分化
→従来型の独立した建物の映画館は閉鎖に追い込まれる
②インド映画のグローバル化
・NRI(Non-Resident Indian)主人公の映画増加→”インドらしさ”の希薄化
・ハリウッド映画の進出〜インド映画の製作・配給、ハリウッド映画の配給
③娯楽映画の変貌
・「ミュージカル」からの解放→歌はBGM使用が増加
・「ナヴァ・ラサ」からの解放→ハリウッド的ジャンル映画増加
勧善懲悪のハッピーエンドも不要
<例>『DON 過去を消された男』Don(ヒンディー語/2006年)
<『DON 過去を消された男』日本版DVD>
1978年作品のリメイク。元の作品では、密輸団のボスであるドンは警察に追われて死亡、
その後彼に化けて密輸団に潜り込んだうり二つの青年ヴィジャイが警察に情報を流して一
味を一網打尽に、というストーリーだったが、リメイク版ではドンは死んでおらず、反対
にヴィジャイを殺して彼に化けて警察を油断させ、最後は仲間を逮捕させた上で自分は逃
げ延びる、という結末になっている。
④地方語映画の台頭
・従来型の典型的娯楽映画〜地方在住者や都市低所得者層向きの感性を維持
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